J1昇格POに出場の場合と比べ3週間早く動けるメリット
もちろん、J1を戦うためは継続だけでなく強化も必要だ。コーチ陣についてもアウェイのリーグ戦中にサブ組のトレーニングが十分行えるよう増員する必要があるだろうし、チーム編成も今季をベースにしつつ、新たな戦力を迎えることができなければ、J1残留は現実的な目標とはなり得ない。
チームは、昇格を達成した選手たちへ最大限の評価を行なった上で、できるだけ残すことを基本路線としているという。期限付き移籍で加入しているGK増田卓也、FW平松宗、MF丸岡満についても、所属元との話し合い次第ではあるが、原則的に来季も長崎でのプレーを念頭に獲得しており、これに複数年契約を結んでいる選手が多いことを踏まえれば、選手の大幅な入れ替えが起こる事態は、今年こそ避けられる見通しだ。
それだけにJ1へ向けたカギとなるのは、やはり選手補強だ。今季途中から強化部長が空席となったままではあるが、今季、事実上の強化責任者を務めた竹村栄哉氏は、長崎のJ参入以来、強化を担当し続け、高木スタイルを最も理解するスタッフの一人。特に厳しい条件の中で、中村慶太、翁長聖といった「掘り出し物」の選手を獲得する手腕への評価は業界でも高く、問題はない。
高木監督ともシーズン中から何度も編成会議を行なっており、すでに報道のあったFC東京の徳永悠平をはじめ、即戦力のボランチやDF、将来性と実力を併せもつ大卒選手の獲得など、現場の選手の強化プランや方向性は早くから決定済だ。
今後はクラブと方針をすり合せながら、選手の獲得が正式に進められる予定だが、リーグ戦終了前にJ1昇格を決めたことで、J1昇格プレーオフに出場した場合と比べて3週間早く動けるメリットもあり、現場の意向はしっかりと反映された戦力が整うと見られている。
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