Jリーグ側が挙げる、シーズン移行の難易度が高い理由
最後の(3)の「降雪地域のスポーツ環境整備を進める」に関しては、理想として目指すところはJFAもJリーグも変わらない。ただ、現実としては厳しいと藤村特命担当部長は指摘する。
「シーズンを移行すると決めたら、降雪地域の自治体が試合会場やトレーニング施設にお金を出してくれるのかと言えば、実際に自治体や地域と向き合っているクラブの意見としては、おそらくそうはならない、なかなか厳しいのかなと」
Jリーグはさらに、シーズン移行に対して難易度が高いとする理由を5つ挙げている。まずは「リーグ戦の開催期間が短くなること」となる。
現状とシーズンを移行した場合のカレンダーを比較すると、後者はウインターブレークを設けているため、1月と2月のほとんどが使えない点は現状と変わらない。後者ではさらに、6月と7月がシーズンオフとなる。
単純計算でリーグ戦の開催期間が2ヶ月短くなるところを、12月と2月の開催時期をそれぞれ増やすことで1ヶ月にとどめた。要は現状よりもスケジュールはさらに過密になる。当然ながら増やした分は降雪地域での開催は難しくなるため、当該クラブは冬期にアウェイ戦を連続させ、温暖な時期にホーム戦を連続させる日程を取らざるを得ない。
おりしも19日のJ2最終節では、モンテディオ山形のホーム、NDソフトスタジアム山形が試合途中から大雪に見舞われ、ハーフタイムには雪かきが行われ、オレンジ色のカラーボールも導入された。
「ファンやサポーターが来られるぎりぎりのタイミングでいま現在は開催されていて、これ以上深く、1週でも(12月の)奥に行けば、集客上ではほとんど現実感がないという話は降雪地域の複数のクラブから出ています」
実行委員会内で出された意見を明かした村井チェアマンは、ひとつのチームが連続してアウェイ戦を戦う日程は、ファンやサポーターの立場から見て決して好ましいことではないと指摘している。
「ファンやサポーターからすれば、隔週でクラブと触れ合うことでいいエンゲージメントができる。観戦者のいろいろな状況を鑑みると、ホーム戦とアウェイ戦がよいリズムで行われていくのがいいのではないか、という声が多くありました」