大詰めを迎えたシーズン移行問題の議論
日本サッカー界において長く議論の対象となってきた、Jリーグの開催シーズン移行問題が大詰めを迎えている。
Jリーグのカレンダーを現行の「春秋制」から、ヨーロッパのシーズンにほぼ合わせるかたちで8月上旬に開幕して翌年5月末に閉幕する、いわゆる「秋春制」へ移行するプランは昨年12月から、日本サッカー協会(JFA)内のJFA・Jリーグ将来構想委員会で本格的に議論されてきた。
同委員会の委員長を務めるJFAの田嶋幸三会長は今月14日のJリーグ実行委員会、さらには21日のJリーグ理事会に出席。シーズン移行が日本サッカー界にもたらすメリットを含めたプレゼンテーションを行ったが、Jリーグ側の見解は現状維持でほぼ固まっている。
東京・文京区のJFAハウスで行われた理事会後に記者会見した、Jリーグの村井満チェアマンはこう話すとともに、来月12日の次回理事会で最終的に判断すると明言した。
「日本代表の強化とリーグの繁栄とが両輪で回っていくところで、シーズンの移行に関しては、現在のところ非常に難易度が高いというリーグの見解を(田嶋会長に)お伝えしました」
シーズン移行を提唱してきたJFA側は、具体的な時期としてワールドカップ・カタール大会が開催される2022年からの実施を提案。メリットとして(1)日本代表を強化する(2)リーグ戦の終盤がより盛り上がる(3)降雪地域のスポーツ環境整備を進める――ことに資すると訴えてきた。
これらを受けてJリーグの実行委員会などで検討が重ねられてきたが、それぞれに対して次のような意見が集約されるに至っている。
まずは(1)の「日本代表の強化」に関しては、ヨーロッパとシーズンを合わせることで日本人選手がいま以上に行き来しやすくなり、さらに質の高い外国人選手や指導者も増えることで、リーグの水準も上がる、という考え方が伝えられた。
事務方の責任者として将来構想委員会にも出席してきたJリーグの藤村昇司特命担当部長は、「ヨーロッパと行き来しやすい要素はある」としながらも、こんな見解を示している。
「日本人選手をどんどん送り出すという意味では、たとえば選手の語学能力の向上にサッカー界を挙げて注力していくなど、他の手段もあるのでは、という意見も出ている。日本と同じシーズンで開催されている中国やアメリカを見ても、いい選手を獲得できているし、いい監督も来ているので」