ドルトムントに欠けていた「自信」。あっさり夢破れる
左サイドの高い位置でボールを奪われると、すぐにデレ・アリからペナルティエリア内のハリー・ケインに繋がれる。イングランド代表FWを前に、マルク・バルトラとダン=アクセル・ザガドゥのCBコンビはなす術がなかった。ボールはGKビュルキの右手をかすめ、同点弾をねじ込まれてしまう。
そこからもう一度勝ち越すために、今のドルトムントには「自信」が欠けていた。
ボス監督がチームのメンタルに言及する。
「我々はシンプルに自信を欠いていた。長い間勝っていないのであれば、それはロジカルなものだ。だから私は前半を終えて本当に誇りに思った。だがスコアが1-1になった後で、我々はあまり自信を持てなくなっていたね」
振り返れば前半も、トッテナムのプレッシングが比較的緩やかだったからこその結果だったのかもしれない。後半に入って相手が少しギアを上げると、ドルトムントはあっという間に同点に追いつかれてしまった。
指揮官は66分に香川を下げてゴンサロ・カストロを投入するが、有効打とはならなかった。「自信」を立て直せなかったドルトムントは、76分にはデレ・アリに悠々と左サイドを崩され、ソン・フンミンに勝ち越しゴールを許す。そのまま1-2で敗れ、CLのグループステージ敗退が決まった。
次はFCシャルケ04とのレヴィア・ダービーだ。
指揮官は「我々は今やダービーに勝たなくてはならない。ただ勝たなくてはならない」と言う。
スパーズに淡い希望を打ち砕かれ、万策尽きた感もあるドルトムント。これ以上はフットボールの僥倖に頼るしかないのかもしれない。
この世界では時として奇跡が起こりうる。
(取材・文:本田千尋【ドルトムント】)
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