2017シーズン限りで切れる契約。24歳で迎えた分岐点
もっとも、周囲からの評価は別だ。レベルが上がったJ2で23ゴールをあげ、しかもまだ24歳と伸びる余地を残したフォワードは、シーズンオフの移籍市場でおのずと注目される存在になる。
「本人にとっても、地方の中規模クラブにとってもよかったことですし、そういったことで(渡が)市場にあがってくるのは普通のことだと思っています」
ヴォルティスの岡田明彦強化部長は、クラブの躍進ととともに急成長した渡に表情を崩しながら、続投が決まったロドリゲス監督のもとで捲土重来を期す来シーズンへ向けて、今シーズン限りで契約が切れる渡を引き留めたいと今後の方針を語った。
「攻撃的で躍動感のあるサッカーを継続して、この悔しい思いとともにしっかりと上へ行けるようにやっていくなかで重要な選手なので、そこは引き続き話をしていきたい」
仮定の話ながら、もしJ1クラブからオファーが届けば――夢半ばで戦いが終わったいまは、何も考えられないとしながら渡は声を振り絞った。
「いまはなかなか先のビジョンというのは考えられる状況じゃないので……ただ、今年やってきたことが新しいステップへつながる可能性があるのならば、そこはひとつの優先順位として選択肢のなかに増やしますけど、本当に今日は『悔しい』のひと言なので」
大学への進学を考えていたところへ、ギラヴァンツからオファーを受けたことで幕を開けたプロへの挑戦。絶対に上へ行ける、はいあがってみせると誓いながら己を磨き上げ、6年目で強烈なインパクトを残した異能のストライカーが、サッカー人生のターニングポイントを迎えようとしている。
(取材・文:藤江直人)
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