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Jリーグ 7年前

J1デビュー果たした2000年生まれのMF。FC東京・平川怜が実力で勝ち取った舞台

text by 後藤勝 photo by Getty Images

鳥栖戦後、平川のプレーを賞賛した大久保嘉人

 残り時間20分での投入。スーパーサブとして得点に関与できないことが心残りだった。結局、東京唯一の得点を挙げたのは、相手ボールをかっさらい独力でフィニッシュにまで持ち込んだ大久保嘉人だった。その大久保は試合後、平川を賞賛した。

「よかったと思います。いまの東京で、ふつうに出たほうがいい。落ち着いているし、ほんとうにこれからが楽しみですよね」

 試合後の共同記者会見では安間監督が賛辞を送っていた。

「よくやってくれたと思います。エリア内の密集のところにしっかりとパスを出せるのが(平川)怜のクオリティだと思っていますし、そこからスピードを上げられるのも彼だと思います。

 入った直後に(室屋)成に出したパスなどからは、トップチームの選手も彼を信じて動き出すことができていることがわかりますし、あの歳にして『ここに出してくる』という感覚をチームメイトに植えつけているのはいいこと。

 ライン際でファイトしていたところは、U-17ワールドカップで圧力に対してなかなかプレーできなかったという反省をもとに、次の段階に行くためのトライだと思います」

 いい選手たちを活かすには、彼らの周囲で支援にまわれる選手、あるいはグループの核となれる選手が必要だ。今後のFC東京、そして東京五輪以後の日本代表を考えると、まずピッチ上で中心になる存在を鍛えなくてはいけない。当然その候補に平川は入ってくる。

 かつての10番タイプは、現代サッカーにおいてはフォワード、トップ下またはサイドハーフに回収される運命にあるが、4番タイプから派生した万能の選手も、センターハーフを基本にサイドにもトップ下にも行くこと、攻守に幅広い活躍が求められている。

 7月1日のJ3第15節ブラウブリッツ秋田戦では、得点に直接かかわっていく課題に立ち向かうためか、久保とのコンビを前線で組む布陣でプレーしていた。

 中盤を構成しながらゴール前にも顔を出す4番派生の中心選手としての完成形は、鳥栖戦での約22分半だけでなく、ここまでの歩みすべてを高い水準で体現したものになる。そうした予感を漂わせるJ1デビューイヤーだった。

(取材・文:後藤勝)

【了】

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