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強豪国に勝つために、日本が目指すべきスタイル。「風間理論」で今こそ考えたいポゼッション

text by 西部謙司 photo by Getty Images

ポゼッションが高まることによる最大のメリット

 では、ポゼッションが50%以下なら勝てるのか。これについては2012年のブラジル戦の前に行われたフランス戦が参考になるかもしれない。日本はほとんどボールを持てなかったが1-0で勝利している。

 押されに押され、シュートも山ほど打たれたが、終了間際のカウンターアタックで1点奪った。相手に引かれて守備を固められてしまえば崩すのは難しくても、カウンターなら点はとりやすい。ただ、この試合に勝てたのは偶然だと思う。つまり10試合やって1回か2回ある勝ちの目を引き当てたにすぎない。

 例えば、フランスにボールを支配されてはいたが、ほとんどチャンスを作らせずシュートも打たせていないのなら、日本はこのやり方で強豪国と戦えばいいという結論は得られる。しかし実際には際どいチャンスを作られ、たまたま相手がシュートを外してくれたにすぎなかった。フランスがちゃんと決めていれば3点はとられていただろう。

 もちろん勝ちは勝ち。シュートを入れるか外すかはサッカーにおいて重要な実力であり、外したのは向こうの問題だ。ただ、あのフランス戦での日本の守備力では、強豪国に勝つ確率が上がるとは思えない。

 つまり、五分にボールを持てても勝てず、五分以下でも強豪国に勝つのは困難ということになる。

「勝ちたかったら70~80%はボールを持つ必要がある」(風間監督)

 ドイツやブラジルを相手に日本がそこまでボールを持てるのかという疑問はひとまず置いておいて、仮にそれが可能だとしたら、どんなメリットがあるのか考えてみたい。

 最大のメリットはピンチの数が減ることだ。2012年に日本が4失点したのは、ブラジルにそれだけ攻撃の機会を与えてしまったから。日本のボール支配が70~80%となれば、相手の攻撃回数は限られてくる。それでもブラジルにカウンターを食らえば1、2点はとられるかもしれない。だが、おそらく4失点はない。

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