失意のどん底に突き落とされたルヴァン杯決勝
わずか2週間前は失意のどん底に叩き落されていた。埼玉スタジアムで行われたYBCルヴァンカップ決勝。ともに悲願の初タイトルをかけて対峙したセレッソ大阪に開始47秒、後半アディショナルタイムと失点を喫したフロンターレは、0‐2のスコアで一敗地にまみれた。
前身のヤマザキナビスコカップを含めて、これで4度目の準優勝。J1でも2000年代に3度の2位に甘んじ、今年元日の天皇杯決勝でも鹿島アントラーズに延長戦の末に屈した。無念の“2位”のうち7度を経験している中村のセレッソ戦直後の胸中は、この言葉からも推し量ることができる。
「フロンターレに関わる誰もがすごく失望したし、自分を含めてすごく悔しい思いをした」
今度こその思いが強かった分だけ、メンタルの落ち込み含めた反動は大きかったはずだ。それでもガンバ戦ではシュートの精度こそ欠いたものの、今シーズンから指揮を執る鬼木達監督のもとで追い求めてきた、攻守両面で相手を握り倒すサッカーをほぼ完璧に体現できた。
傷心のフロンターレを立ち直らせたのは何なのか。「あのままガタガタ崩れかねない状況だった」と偽らざる本音も漏らした中村は、ホームの等々力陸上競技場で試合があることをまずあげた。
「自分たちがしっかり戦っている姿を、まだまだやれるという姿を見せなきゃいけなかった」
フロンターレのサポーターは、どんな状況になってもブーイングを浴びせないことで知られる。ルヴァンカップ決勝後も然り。つらいときも悲しいときも、すべてを一緒に乗り越えて前へ進んで行こうと悔しさをエールに変えてきた。
ガンバ戦もあいにくの天候のなか、2万人を超えるファンやサポーターが詰めかけた。確かにセレッソ戦ではらしくない、もっと言えば時間の経過とともに焦りがにじみ出る戦いを演じてしまった。だからといって、積み重ねてきたすべてが否定されるわけでもない。
「あのままシーズンが終わっていたら、失意のオフに入っていましたけど、自分たちで挽回できるチャンスが来る。そういうところで、誰かが何かを言ったわけではなくて、今週に入ってからはピリッとした雰囲気で、ガンバ戦へ向けていい準備をしようとなりました」