イングランド・ユース代表が国際大会で躍動した2017年
2017年もあと6週間を残すのみになったが、振り返れば、今年はイングランドのユース世代が躍動した1年だった。
スペインとのファイナルにPK戦で敗れて準優勝した5月のU-17 EUROから始まり、6月にはU-20代表がW杯で優勝。また同時期に行われ、18歳以下のチームで臨んだトゥーロン国際大会でも連覇を達成した。
その後のU-21 EUROでは再びPK戦で涙を呑んで4強止まりも、7月にはU-19 EUROを制覇し、さらに先月にはU-17W杯でも戴冠。決勝では0-2と追いかける展開から、最終的には5-2で圧倒して5月のEUROで敗れたスペインにリベンジを果たした。
トゥーロン国際大会を除いた“正真正銘”のグローバルな大会でイングランド代表が優勝したのは1966年W杯以来である。ただ過去数年間、ユース世代は着実に力をつけてきていた。上記のとおりPK戦での負けはあるものの、90分間以内と限定すれば直近の34試合で負け知らずだ。それだけに今年の躍進は偶然ではなく必然といっていいだろう。
そんなイングランドの育成改革が始まったのは1990年代終盤のこと。背景には、長らく国際舞台で力を発揮しきれないイングランド代表を尻目に、華々しい戦績を残す欧州のライバルたちの影響があった。
フランス代表は自国で開催した1998年W杯を制すると2000年のEUROでも優勝した。2008年にEUROを勝ち取るまでは無冠の帝王と呼ばれた(実際には1964年に同大会を制しているが)スペインも、今では常にビッグトーナメントの優勝候補になる存在となった。2000代初頭は低迷したドイツ代表もその後見事な復活を果たし、前回の2014年W杯で4度目の優勝を達成している。
これらの国々はユース世代の育成戦略に力を入れて、長期的なプランとともに選手を育て上げてきた。その成果がフランスならティエリ・アンリやニコラス・アネルカ、スペインならアンドレス・イニエスタやダビド・シルバであり、ドイツであればトーマス・ミュラーやメスト・エジルだった。そしてそれが、最終的に各国のW杯やEURO制覇という形で実を結んだのである。