本大会メンバー発表まで議論は続くか
一部のメディアは、『ベンゼマはチームにとって不協和音となる因子であるから除外された』と報じている。シャイでおとなしいベンゼマがロッカールームの問題児になることはまずない。ただ、彼がいることでメディアが極端に騒ぐなど、代表チームの平穏が乱されるかもしれない、という懸念は、サッカー連盟やデシャン監督も抱いているようだ。
たしかにベンゼマには、友人がSNSに投稿したデシャン監督の顔写真をコラージュしたジョーク写真に「おもしろいと思ったから」と安易に「いいね」して騒がれてしまうとか、『セックステープ事件』のようなスキャンダルに関わってしまうとか、「危機管理が甘い」と思えるところは多々ある。しかし裏を返すと、あまりに素朴というか、サッカー以外の世間に疎い人なような感じもする。
個人的には、今の彼はフランス代表に貢献できると思える。だから彼をロシア行きのメンバーに加わることを願っている。が、2017年3月の世論アンケートでは、78%と約8割の人がベンゼマの招集に反対したそうだ。
批評家たちもほとんどが、個人的意見は別として、「デシャンが本戦メンバーにベンゼマを呼ぶことは、よっぽどけが人でも重ならない限りありえない」と断言している。
それでも、デシャン監督がどんなに眉間にシワを寄せても、「今回ベンゼマの招集は?」という質問は、今後も繰り返されるだろう。それだけベンゼマは、注目されている選手なのだ。
果たしてこの『お騒がせストライカー』はロシアのピッチに立つのか。メンバーが発表される来年5月まで、議論は続きそうだ。
(取材・文:小川由紀子【フランス】)
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