ドイツ戦0-8。サウジアラビア大敗の知られざる背景
アジア王者を賭けて浦和レッズとAFCチャンピオンズリーグファイナル(ACL)を戦うサウジアラビアの名門アル・ヒラル。勝敗に影響を与えるかもしれない2つのオフザピッチでのエピソードを紹介したい。
サウジアラビアサッカー界にとって日本で戦うビッグゲームというのは鬼門である。ある関係者はこう語る。
「あれは忘れもしない2002年日韓ワールドカップ、ドイツ戦の0-8の大敗。理由はシンプル。サウジアラビアの選手が試合前日札幌の夜の街に繰り出し、遊んでいたから」
サウジアラビアは、94年アメリカワールドカップではアジア勢28年ぶりとなる決勝トーナメントを達成したように決して弱小国ではない。もしフルパワーで臨んでいれば、0-8という屈辱は味わうことはなかったはずだ。
2007年AFCアジアカップ予選最終戦、日本対サウジアラビアの試合が06年11月という時期に札幌開催だったのは、サウジアラビアが02年の再現で弱体化してくれるのを期待していたと真っ先に考えてしまうほど。
札幌での屈辱から、サウジアラビアサッカー界が選手のディシプリンを徹底。国外遠征時には、プライベートでの外出はおろか、ホテル周辺を散歩したり、ロビーでお茶をすることも全面禁止し(通常、他国のチームは許可)、選手は常時部屋に待機。24時間体制で関係者がホテルのロビーにて監視、違反者には深刻なペナルティーが課される。
サウジアラビアが2000年代弱体化したのはプロ意識の欠如だったが、元々強大なポテンシャルを秘めており、年月をかけてディシプリンが浸透しチームに一体感が生まれたことで代表チームが12年ぶりのワールドカップ本大会出場を果たし、アル・ヒラルもACLファイナルまで駒を進めることになった。
アル・ヒラルの選手が、今回六本木や銀座で遊ぶことを期待する浦和サポーターには断言したい。アル・ヒラルの選手は、羽目を外すことは絶対にないし、ハニートラップは通用しない。