元日本代表主将が語るオフザピッチの重要性
本大会で選手たちが見せるパフォーマンスが日本代表の成績に直結するのは間違いないが、宮本監督が「(大会の成功に向けて)半分以上の重要性がある」と断言したのは、合宿地の選定や大会中の宿舎などオフザピッチの環境整備の重要性である。
「ピッチ内も大事ですが、僕らもずっとサッカーだけをしているわけじゃありません。テンションが高くなりすぎないようにとか、プレッシャーがかかり過ぎないようにとかコントロールをいかにして上げられるか。そこがピッチでのパフォーマンスにつながる。本当に5割と言っても言い過ぎではありません」
前回のブラジル大会では前年のコンフェデレーションズカップでサッカー王国の気象環境などを体感していたにもかかわらず、イトゥーをベースキャンプとし、移動距離の長さや試合会場の暑さがデメリットとなったのは否めない。
ブラジルほどの高温多湿となる会場はないにせよ、広大なロシアの地に乗り込む日本代表の事前合宿や本大会での拠点選びは、やはり見逃せないポイントの一つになる。
もちろん、チームベースの確立やチームの軸となる選手の好パフォーマンスが大会での躍進に欠かせないのは言うまでもないが、残された期間で大事になるのは「自分たちのサッカーや方向性に自信を持てるかどうかですね。そこにある程度の自信や手応えをつかむことが出来ればポジティブな雰囲気で大会に臨めますし、自分たちの経験を振り返ってもドイツ戦やその前の親善試合はそうでしたから」。
アジア予選や国内でのテストマッチでは体感し得ない世界のトップレベルと邂逅した先日のベルギー戦、ブラジル戦は日本代表にとっての格好の試金石となった舞台だが、現在の日本代表で宮本監督が期待を寄せるのは「原口とか、井手口」だと言う。「特に井手口なんかは大舞台というか大事な試合で大きな仕事ができると感じさせてくれますよね。原口は前に早くボールを持って行けるという点で日本人に少ない力を持っています」。
宮本監督がガンバ大阪U-23の練習を終え、約1時間近くに及んだインタビュー。大会初戦の重要性や、ベテラン選手がもたらす意味など「賢人」が体感した経験談に基づく「等身大」のワールドカップを聞かせて頂いた。一読頂ければ、ロシア大会に向かう日本代表への視点や楽しみが変わって来るはずだ。
(取材・文:下薗昌記)
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