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Jリーグ 7年前

J1昇格PO目指す東京V。幾度もの危機を経て。ロティーナ監督の功績と数年来の積み重ね

text by 海江田哲朗 photo by Getty Images

ピッチ上だけでは計測できないベテランの価値

東京Vの梶川諒太。他クラブでの経験をヴェルディに還元している
東京Vの梶川諒太。他クラブでの経験をヴェルディに還元している【写真:Getty Images】

 今季の中後は開幕戦こそスタメンの座をつかんだが、故障と若手の台頭により13試合1得点にとどまる。ピッチに立つ時間より、ベンチで出番を待つ時間のほうが長くなった。プロ13年目、勝負どころで重要になるベテランの仕事について、どのように考えているのか。

「鹿島では、代表に入りながらサブだった柳沢敦さん(現鹿島コーチ)が、チームを第一に考えて取り組むのを見ていました。今年、途中から監督になった大岩剛さんもそうですね。雰囲気を盛り上げ、自身は黙々とトレーニングに打ち込んでいた。

 ここでは、佐伯直哉さん(現東京Vユースコーチ)が故障と戦いながら、できることをやり抜く姿に間近で接しました。今季のタム(田村直也)だってそうですよ。全然使われない時期があって、少しずつ信用を積み重ねてきた結果、いまはスタメンで起用されることも多い」

 つまり、ベテランの価値はピッチ上のパフォーマンスのみで計測可能にあらず。中後は言った。

「最終節に向けて、トレーニングの雰囲気はうまくつくっていきたいです。今年のチームは、いい準備ができたときはきちんと結果につながっている。ロティーナ監督は、戦わなければ始まらないとよく言います。そこまで持っていくのはサポートする選手の仕事でもある。大事なゲームで力を出せるように、しっかり戦える雰囲気を」

 梶川諒太は、昇格戦線に踏みとどまった京都戦をこう振り返る。

「京都は昇格にも降格にも無関係で、一方の自分たちはこの試合を落とすとプレーオフ進出の可能性が乏しくなってしまうゲーム。先制点さえ取れれば、その先は懸ける思いの強さ、メンタルの違いが出てくると思ってやっていました。めっちゃ苦しかったですけど、どんな武骨なサッカーだろうと、とにかく結果が必要だったんで」

 はたして、ゲームはそのとおりになった。東京Vは徹底してリスクを排除し、数少ないカウンターのチャンスに賭ける。67分、柴崎貴広からのロングパスをアラン・ピニェイロが決めてリードを奪うと、よりディフェンシブに舵を切った。この1点を守り抜くと、チームのベクトルが速やかに束ねられた。

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