伸びしろ残したハリルジャパン。新たなオプション発掘が肝に
ベルギー戦であれば、73分に前線を大迫勇也から杉本健勇に代えたが、本大会であれば大迫を残した上で、残り10分というところで杉本を加えて2トップにするような、前線により迫力を加える選手交代も可能だ。また、そうしたジョーカーとしての効果を発揮できる選手をここから発掘していくこともできる。
また今回は井手口陽介が主にセットプレーのキッカーを務め、ブラジル戦では槙野智章のゴールをアシスト。ベルギー戦でもサイズで勝る相手の守備に対しても、味方に合うシーンが増えてきたのは1つ収穫だ。とはいえ長友が「11人が必死に守って、ショートカウンターなりセットプレーで点を取っていく」と語るように、セットプレーを“ハリルジャパン”の得点源とするには準備もキッカーとターゲットマンの選択肢も足りていない。
当然ながらブラジル戦とベルギー戦で感じた強豪との差や、それを埋めるための基準になる部分、組織としてのインテンシティーはさらに高めていくことが前提で、さらにどれだけオプションを加えて勝負所での戦いにおける底力を研ぎ澄ませていけるかどうかがW杯本大会での躍進のカギを握る。
あらゆる状況を想定する中で今回はメンバーから外れた従来の主力選手や怪我で離脱していた選手にチャンスが与えられるかもしれないし、12月に行われるEAFF E-1サッカー選手権(旧東アジアカップ)で活躍した選手を含め、新戦力の台頭が見られるかもしれない。
「私の頭の中にはもう少し、ここを伸ばしたいというアイデアはある」とハリルホジッチ監督は言った。ここまでは予選突破というノルマをこなしながらベースを作ってきたということ。そこにどんなオプションを加えてW杯本大会に臨むか分かるのはまだ先だが、その中にアルジェリア代表監督時代のマフレズの抜擢にも似た“サプライズ”が用意されるかもしれない。
(取材・文:河治良幸【ブルージュ】)
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