W杯本大会を想定した有意義な欧州遠征
前半でほぼ決着がついてしまったブラジル戦と打って変わり、14日のベルギー戦はテストマッチながらロシアW杯の組み合わせ抽選で“ポット1”に入る国との対戦を、本大会まで半年という時期に高い水準でシミュレートできたという意味で非常に有意義な経験となった。
これまでの対戦成績も示す通り、日本代表にとって同じ“格上”でも、南米のブラジルと欧州のベルギーでは単純なレベル差ではない国同士の相性というものもあるかもしれない。だが、アウェイの環境で70分過ぎまで0-0を引っぱり、攻撃でも最後に決め切るかどうかのシーンまで何度か持ち込めたというのは「相手をリスペクトしすぎていた」(ヴァイッド・ハリルホジッチ監督)というブラジル戦の反省を踏まえ、監督だけでなく、選手がレギュラーもサブも今できることを短い準備期間で突き詰め、ピッチで表現した成果として評価できる。
そうした強豪との勝負のベースとなる部分がある程度まで引き上がったからこそ、本大会に向けて足りないものや、必要なものが浮き彫りになってきた。それは今後のメンバー選考にも大きく関わる問題だ。親善試合でありながら0-0で後半途中まで進行したことで、試合の緊張感が高まってきている中で、ハリルホジッチ監督は勝負とテストの両にらみの交代カードを切ることを求められた。
主力の数人を欠いていたこの試合のベルギーに、W杯本大会を想定した力があったのかどうかはさておき、こういう相手と本大会で後半途中まで0-0で進行していたら、中盤の守備で効いていた長澤和輝を下げ、より攻撃的な森岡亮太を入れて中盤の陣形も変えるようなことをしただろうかと考えると、難しい。その選択以上に1つ誤算があったとすれば、浅野拓磨と交代で右サイドに投入された久保裕也の攻撃への意識が強く、対面するナセル・シャドリへの警戒をゆるめてしまったことだ。