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日本代表 7年前

ベルギー戦の手痛い教訓。吉田麻也が痛感、勝敗の分かれ目になった「一瞬の緩み」

text by 元川悦子 photo by Shinya Tanaka, Getty Images

ブラジル戦後の問題提起。あえて呈した苦言

ベルギー戦ではキャプテンマークを巻いた吉田麻也【写真:田中伸弥】
ベルギー戦ではキャプテンマークを巻いた吉田麻也【写真:田中伸弥】

 ブラジル戦でVAR(ビデオ)判定によるPK献上で試合の入りをミスし、ベルギー戦でも最後の砦になりきれなかったことを、守備の要は重く受け止めている。吉田は日常から世界基準を肌で知る日本唯一のCB。それだけその一挙手一投足は影響が大きい。

 今回の11月シリーズでは槙野が奮闘し、彼の負担を多少なりとも軽減してくれたが、やはり吉田のパフォーマンスの善し悪しが日本守備陣の安定につながるのは間違いない。今後のためにもシャドリに突破された場面を再検証し、対策を練ることが肝要だ。

 このシーン以外は、吉田率いる日本の守備は見違えるほどよくなっていた。「ブラジル戦に比べてチーム全体の目に見えない意思疎通が取れていた。みんなメチャクチャ声を出した。これくらいの集中力と気持ちでやらないとこの相手には負けてしまう」と長友佑都(インテル)もコミュニケーション面の改善を口にしたが、それも吉田が仕向けたこと。

 背番号22が2日前の練習で「監督と話さなければいけない」と問題を提起し、「自分たちはうまくないんだから、もっとガムシャラに死に物狂いでやらないといけない。前の選手は1回だけじゃなく2度追い3度追いしなきゃいけないし、後ろの選手ももっと体を張らなきゃいけない。そういうガムシャラさが足りない」とあえて苦言を呈したことで、チーム全体が引き締まったのだ。

 長谷部不在の中、彼がそういう統率力を示したことはロシア本番にも大きな意味を持つ。右ひざの不安を抱える長谷部がワールドカップでフル稼働できる保証はなく、本田圭佑(パチューカ)、岡崎慎司(レスター)、香川真司(ドルトムント)のビッグ3復帰もが約束されていないだけに、現有戦力で戦える力を身に着けなければならない。

「本田さんたちがいなくてもやっていける手ごたえ? 今のままでは全然足りない。ただ、可能性は十分ある。各自がチームに持ち帰って課題を克服できるかどうか。自分自身もそこを突き詰めていくだけじゃないかなと思います」と吉田は前だけを見据えていた。

 ここからクラブに戻っても試練が待っている。サウサンプトンでは長期離脱していたファン・ダイクが復帰。センターバック争いはし烈を極めている。その中で吉田はさらなる緻密さを養い、定位置を死守することが肝要だ。ロシアでの成功のためにも、日々の積み重ねを大事にするしかない。

(取材・文:元川悦子【ブルージュ】)

【了】


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