勝敗を分ける「1つのミス、1つのチャンス」
1トップのルカクを筆頭に、シャドリ、ボランチに入ったデ・ブルイネ(マンC)、最終ラインのカバセレ(ワトフォード)、ヴェルトンゲン(トッテナム)と、今回のベルギー先発組にはイングランドのクラブに所属する選手が5人入っていて、吉田にしてみれば「特徴を熟知している集団」だった。
とりわけ、最大の得点源であるルカクについては、「何度もやってますけど、ホントに強くてうまくて速い。エバートンにいると気よりもすごくレベルアップしてるなと感じるし、足元の雑さがなくなって質の高い選手になってるので、1こ2こチャンスがあれば必ずモノにしてくる」と対戦前から警戒心を露わにしていた。
そのエースにやられただけに悔しさはひとしおだ。しかも「ベルギーが好調な時だったら難しいと思いますけど、彼らは明らかに調子がよくなかった。チームでやってるのと全然違うパフォーマンスだと感じた」と指摘する通り、相手は低調な状態だったから、不完全燃焼感がより一層募るのも当然のことだ。
確かに、この日のベルギーはボール支配率こそ圧倒していたが、タテへの推進力は今一つ。デ・ブルイネが12日の練習でロベルト・マルティネス監督の5バック気味の布陣を「守備的すぎる」と批判したことも引き金となり、不協和音も聞こえてきていた。
チームとしての一体感や結束力は間違いなく日本の方が上。そんな状況でも0-1で敗戦という結果が出てしまうのは「ワンチャンスをモノにする差」があるから。吉田はその恐ろしさを再認識したようだ。
「1つのミス、1つのチャンスを生かすか殺すかで勝敗が分かれてしまう。やっぱり上に行けば行くほど細かいディテールが結果につながるんだってことを、僕も含めて多くの選手が学んだと思う」と本人は切々と語る。
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