香川は「追う立場」に。残されたチャンスは3月のみ
現状は少ない枠を、香川を含め複数人で争っている。長澤が台頭し、森岡亮太も2試合連続で起用された。まずまずのパフォーマンスだったが、次回も招集されるのではないか。また、今回は出番がなかった倉田秋は10月の親善試合で結果を出しており、香川ら海外組の出場が事実上不可能な12月のE-1サッカー選手権でのアピールも可能。
さらに言えば、12月のE-1では清武弘嗣ら有力選手が一気に評価を高める可能性もある。来年3月がアピールのラストチャンスとなる香川にとって他の選手の活躍は自身の立場を危うくするものである。
忘れてならないのは柴崎岳の存在だ。元々の評価が高い柴崎の復帰をハリルホジッチ監督は待っており、3月は集中的に柴崎をテストするだろう。
このままフォーメーションや戦術を変更しないなら、ロシアW杯メンバー23人のうち中盤(MF)は6~7人。長谷部、井手口、山口が入り、守備的な選手のサブとしては遠藤航がリード。残りは2~3人。ここを長澤、森岡、香川、柴崎、清武らで争う。長澤に追い抜かれた香川にとっては序列を逆転させる必要がある。
欧州遠征へのメンバー落ちで香川のW杯行きは既に黄色信号は灯っていた。長澤の活躍はその影をさらに薄くしていく。これまで追われる立場だった香川は、初めて「追う立場」となることが明確になった。
ハリルホジッチ監督が繰り返し強調するように、まずはクラブで結果を出し、メンバーに入り込まないといけない。もちろんポジション争いの激化はチームにとってポジティブなものだ。お互いが刺激しあいながらレベルアップしていけば、それはそのままチームのレベルアップにつながる。
だが、W杯まであと7ヶ月。残された時間はそう多くはない。
(取材・文:植田路生【ブルージュ】)
【了】
★W杯予選まとめはこちら★