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Jリーグ 7年前

長崎、消滅の危機乗り越えJ1自動昇格。高木監督と高田社長が目指した一体感の構築

text by 藤原裕久 photo by Getty Images

経営問題に揺れる状況。最悪の場合はJ2残留が最低ノルマに

 チームのトップである高木監督が一体感を重視したのが開幕前であり、ジャパネットがクラブ運営を引き継いだのが4月途中からであったことを考えると、事前にお互いが打ち合わせていた可能性はない。だが、クラブの両輪とされるチームとフロントは、奇しくも同じ方向へ向けて走り出していたのだ。

 今季、チームの目標はJ1自動昇格だった。過去のJ1自動昇格チームを参考に、必要な勝点を当初は86としながら、夏にリーグの状況を見て80と再設定していることからも、それが希望としての目標ではなく、実現性を重視した明確な目標であったことは理解できるだろう。

 また、経営問題に揺れる状況から、最悪の場合としてJ2残留を最低ノルマと想定していたことからも、冷静な計算の上でリーグを戦っていたことはうかがえるはずだ。

 幸いにも上位を狙う戦力は整っていた。現在はベガルタ仙台で強化育成本部長を務める丹治祥庸前強化部長が、仙台へ戻る日を延ばしてまで強化に協力し続けてくれたことで、苦しい強化予算の中でもポテンシャルを持った選手たちが揃っていたのである。

 だからこそ、高木監督もチーム内での目標を明確に「J1自動昇格」としたのだろう。同時にそれはチームの方向を一つに向け、チームが結果を出して周囲を一つにするために必要なことでもあった。

 J1自動昇格へ向けて、高木監督とコーチ陣は次々と手を打っていった。元から定評のあるスカウティング能力をいかして相手のウィークを突くばかりでなく、FWファンマの強さを前面に打ち出す攻撃や、J2に3バックのチームが多いことから用意した3バック崩し、チームの集中を高めるためのミニキャンプ実施や柔軟な選手起用……。

 あらゆる手練手管を駆使してチーム力と勝点を高めながら、コンディションに配慮したスケジュールを組み、積極的に選手やコーチ陣とコミュニケーションを重ねて、常にチームの目線を同じ方向へと向けていったのである。

 その結果、チームと選手たちは尻上がりに調子を上げて、第30節の京都戦を皮切りにJリーグでのクラブ新記録となる5連勝を達成し、そのまま11戦無敗でJ1自動昇格へ王手をかけるまでに至っていった。

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