日本は2トップ採用も? 限られた準備時間で選択肢増やせるか
一方でビルドアップは深い位置で回してから速く正確なサイドチェンジを通してくるため、運動量が豊富なメキシコの前線と中盤も高い位置でボールを奪うことが難しかった様子だ。
この3バックに対して守備でいかに前からハメて、攻撃では隙間を突いていくことができるか。組織としての連動に加えて、デュエル(決闘を意味する1対1の強さ)が求められる。“デュエル”というとパワーとパワーの正面衝突に思われがちだが、それだけではない。相手の逆を取り、柔軟にすり抜けること、タイトに距離を詰めて行動を制限し、ミスを誘発することなどもそうだ。
前線で大迫勇也らセンターFWがシマンやヴェルメーレンをデュエルで制しながらボールをつなぎ、左右のウィングやインサイドハーフが飛び出すというのが1つ有効な形だ。守備でもセンターFWが左右のウィングと協力しながら3バックを厳しくマークしたいが、より前線からプレッシャーをかけやすい2トップを採用するのも手だ。また攻撃においてもFWのコンビネーションで3バックの隙を突きやすいメリットもある。
ただ、ブラジル戦以上に限られた時間で慣れないシステムを構築するのは簡単ではない。前々日(12日)の練習では練習中にヒョウが降って中断を強いられた。準備時間が限られる中、システムの選択はもちろん、スタメンのチョイスもシビアなものになるかもしれない。
大迫がポストプレーなどで頼りになる存在であることはすでに分かっている状況で、杉本健勇をスタメンでテストする、あるいはブラジル戦で出場のなかった興梠慎三をテストする、場合によっては指揮官が“第3のオーガナイズ”として示唆していた[4-3-1-2]の採用など、有効性の高いチャレンジも望まれるが、指揮官がどういう決断をしてくるか。ベルギー戦のパフォーマンスに加えて選手起用は今後の強化に影響してくるポイントだ。
(取材・文:河治良幸【ブルージュ】)
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