「1人では止められない」ベルギー攻撃陣を封じるために
日本にとって最悪のシナリオを回避するためにも、試合までの2日間でできることをやるしかない。長谷部誠(フランクフルト)が右ひざの問題で別メニュー調整を強いられ、2戦連続出場が難しくなっている今、率先して守備組織の構築にあたるのは吉田の重要な役目と言っていい。
加えて、今回のベルギーはロメル・ルカク(マンチェスター・ユナイテッド)、エデン・アザール(チェルシー)、ケビン・デ・ブライネ(マンチェスター・シティ)らイングランド・プレミアリーグで活躍するアタッカーがズラリと並ぶ。「1人でみんなは止められないんで」と吉田は苦笑いしていたが、彼らと実際に対峙して質の高さを肌で知る経験値を生かすのは、まさに今しかない。
「ルカクなんかは何度もやってますけど、エバートンにいる時よりすごくレベルアップしている。足元の雑さがなくなって、より質の高い選手になっているので、1個か2個のチャンスがあれば必ずモノにしてくる。この間のブラジル戦の反省を踏まえても、やっぱり0-0の時間を長くしていかなければいけないなと感じています」とブラジル戦で自らPKを献上し、試合を壊す形になった背番号22は自戒を込めて言う。
今回のゲームでビデオ判定はない。もちろんW杯本番を視野に入れることは大切だが、目の前に相手に勝つことが先決。ファウルすれすれのプレーで相手を止められるチャンスを生かすことが肝要だ。酒井宏樹(マルセイユ)も「ファウルをして止めることが欧州では戦術になっている。あれだけ能力の高い選手たちがそうしているのに、世界トップレベルに達していない僕らがずる賢さ、そういう戦術を足していなかったらやっぱり戦えない」と話した通り、超一流のアタッカーを苛立たせるような駆け引きはやはり必要だろう。
プレミア6シーズン目を戦う吉田はその重要性を嫌というほどよく分かっているはず。世界最高峰のリーグで体得したインテリジェンスをしっかりと発揮したいところだ。