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代表 7年前

ベルギー代表、爆発的攻撃力で欧州を席巻。日本と対戦、スター軍団は30年ぶり国民の希望に

text by 中田徹 photo by Getty Images

3バックの長所と短所。日本戦が持つ意味とは

ロベルト・マルティネス
ベルギー代表のロベルト・マルティネス監督は誰をW杯に連れていくか今から悩んでいるに違いない【写真:Getty Images】

 ベルギーにとって長所であり、短所であるのもウイングバックシステムの採用だ。

 ベルギーが強豪国の仲間入りをしたマルク・ヴィルモッツ時代は、4-3-3フォーメーションを基調としたシステムを採用していたベルギーだが、今予選からロベルト・マルティネスが指揮を取り始めてから3-4-2-1など、「3バック」+「ウイングバック」を置くシステムに変わっている。

 新システムの利点は、サイドアタッカーのカラスコを左ウイングバックにコンバートしたことで、左ウイングのエデン・アザールと同サイドで共存することに成功したこと。ヴィルモッツ前監督はカラスコを右ウイングに置いたが、少なくとも代表チームではうまく機能しなかった。

 ウイングバックシステムの採用によってブレイクを果たした選手も表れた。右ウイングバックを務めるトマ・ムニエだ。それまで右サイドバックを本職としていた身長190cmの26歳は、今予選でチームトップの7アシストを記録。8月31日のジブラルタル戦(9-0)では3ゴール4アシストと大暴れした。本人がメキシコ戦後に夏の移籍市場でチェルシーからオファーがあったことを認め、欧州で注目を集める存在になっている。

 だが、相手チームにとっては、ベルギーのウイングバックが攻め込んだ裏は狙いどころにもなる。ベルギーがW杯出場を決めた9月3日のギリシャ戦は2-1で勝利したものの、ギリシャがしっかりベルギーに対する策を立て、カラスコとムニエの裏を突き続けた。

 現在、カラスコは負傷のため代表から外れており、メキシコ戦ではナセル・チャドリが左ウイングバックを務めた。マルティネス監督はアドナン・ヤヌザイもウイングバック候補として見ており、14日の日本戦での抜てきもありえる。

 11月の代表マッチウィークを、マルティネス監督は「W杯を見据えてヨーロッパ外との国と試合をするのが大事。11月はメキシコ、日本。そして3月はおそらく南米、アフリカの国と試合を組むことになると思う」と語っていた。

 メキシコ戦が3-3という撃ち合いの末、引き分けに終わると、「メキシコは1対1の状況を作って、盛んに仕掛けてくるチームだった。このようなサッカーをする国は、ヨーロッパではなかなかなく、良いテストになった」と振り返った。間違いなく「得たもの」があったのだ。日本戦後、指揮官は一体何を語ってくれるだろうか……。

(取材・文:中田徹【ベルギー】)

【了】

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