激しさを増す攻撃陣の競争。泣きどころは守備か
ロベルト・マルティネス監督がフォローしている選手は50人余り。「各ポジションに、多くのオプションがある。5月、W杯のメンバーを23人に絞り込む時。それが私には恐ろしい」とまで指揮官は口にする。セリエAで旋風を起こしているサンプドリアの中心選手、デニス・プラートですら、代表に呼ばれる兆候がないのである。
激しい競争の中で、チャンスを掴みかけている選手もいる。エデン・アザールの弟、トルガン・アザールだ。10月10日のキプロス戦で大きくメンバーを入れ替えたマルティネス監督は中盤にトルガン・アザールを抜擢。気鋭の24歳はその期待に応えてゴールを決めるなど、チームの4-0の勝利に貢献し、ベルギー国内での評価を大いに高めた。
「トルガンはなぜベルギー代表の一員なのかを示してくれた。私がチェックしたボルシアMGの試合で、彼はアディショナルタイムに決勝点となるPKを決めた。そのことが、彼の持つキャラクターを表してる。彼の成長は著しい。1年前のトルガンとは全く違うプレーヤーになった」(マルティネス監督)
攻守に粘りのあるプレーを見せ、ミドルパスに定評のある多機能MFユーリ・ティーレマンスも、キプロス戦で見る者を唸らせた。
だが、昔は守備に定評のある国だった割に、DFの層の薄さが問題として取り沙汰されている。11月の代表マッチウィークではトビー・アルデルヴァイレルトが負傷のためメンバーから外れ、ヤン・フェルトンゲンがメキシコ戦を欠場したが、この2人はやがて復帰するだろう(フェルトンゲンは日本戦出場の可能性あり)。
しかし、問題は負傷ばかりのヴァンサン・コンパニと、バルセロナで出場機会がほとんどないトーマス・ヴェルメーレンだ。ヴェルメーレンには「出場機会を求めて冬の移籍市場で新チームを探すべき。さもなければ、代表は難しいかもしれない」という辛らつな意見もある。
マルティネス監督は3バックを採用している。「もし、コンパニとヴェルメーレンをロシアW杯で欠いたら、フェルトンゲン、アルデルヴァイレルトと組むもう一人のセンターバックは?」という問いに、明確な答えが出ないのが今のベルギーである。11月10日のメキシコ戦(3-3)での最終ラインはローラン・シマン、デドリック・ボヤタ、ヴェルメーレンという並びだったが、機能しなかった。