堅守速攻のマンUか、それとも華麗なるナポリか
闘将からチームを引き継いだロベルト・マルチネス監督には、赤い悪魔を同じニックネームのマンチェスター・ユナイテッドにするか、それともヨーロッパで最も美しいプレーをするナポリにするかの選択がある。ナポリにするならCFはルカクではない、メルテンスで決まりだ。メルテンスは狭い地域をパスワークで破るにはうってつけのFWである。
もしマンUで行くなら当然ルカクがエースだ。今季のマンUはルカクのためのチームといっていい。ルカクを生かすカウンターを軸とした堅守速攻。守備が強くなければ話にならず、カウンター連発で間延びが予想される中盤を埋めるために、ネマニャ・マティッチを獲得した。
相手に引かれたときにはヘンリク・ムヒタリアンやフアン・マタがクリエイティブ部門を担当、それでダメならドリブラー投入、さらにベルギー同様のフェライニ投入。ジョゼ・モウリーニョ監督らしい重層的な戦術構成になっている。それもこれもルカクありきだ。
ベルギー代表はたぶんマンU型だと思う。ルカクの控えにはミッチー・バチュアイ、ディヴォク・オリジと似たタイプがいる一方、メルテンスのバックアップが見当たらない。遅攻がそもそも不発だったのはアザール、ナセル・シャドリ、ケビン・ミララス、アドナン・ヤヌザイなどドリブラーばかりでパサーが少なかったという事情もある。守備強化のために監督とひと悶着あったナインゴランを定着させ、速攻がダメなときはデブライネと協調できるクリエイターの投入で格好はつきそうだ。
いずれにしても多士済々、興味津々のベルギーでルカクはカギを握る存在といえる。
(文:西部謙司)
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