3バック採用のベルギー。攻略のカギはサイド?
一方の乾も、70分に原口元気(ヘルタ)と交代。爆発的なスピードと高度なドリブル技術を駆使してリズムを変化させていく。82分には中央寄りの位置から杉本健勇(C大阪)に巧みなスルーパスを出し、88分には同じく杉本の「幻のゴール」をお膳立てするフリーキックを蹴る。
同じリーガ・エスパニョーラでプレーするカゼミーロ(レアル・マドリー)への果敢な仕掛けから得たチャンスだったが、こうした落ち着きはスペインで修羅場をくぐってきた経験値の賜物だろう。原口も試合開始時からハードワークでチームに貢献していたが、得点につながりそうな形は乾の方がより多く作っていたと言えるのではないか。
この戦いぶりを踏まえて、2人が両サイドでスタメン出場する場合には、前からのハイプレスとハードワークはもちろんのこと、より攻撃に関与する回数を増やさなければならない。そのためにも、相手の出方をしっかりと見極め、守備面ではプレスをかけにいくところと下がるところの意思統一を明確にし、守から攻への切り替えを普段以上に素早くしていく必要がある。日頃から欧州でプレーする2人はベルギーと対峙しても感覚的な違和感や戸惑いはないはず。強気のメンタルを貫けるはずだ。
2016年欧州選手権直後からベルギー代表を指揮するロベルト・マルティネス監督は3バックを採用している。ロメル・ルカク(マンチェスター・ユナイテッド)、ミヒ・バチュアイ、エデン・アザール(ともにチェルシー)、ケビン・デ・ブライネ(マンチェスター・シティ)といった攻撃陣の卓越した個の力を生かすスタイルを採っている。
3バックの性質上、両アウトサイドに能力の高いトマ・ムニエ(PSG)とナセル・シャドリ(ウェストブロムウィッチ)のような選手たちがいても、彼らの裏は空きやすい。浅野と乾にしてみれば、そこが大きな狙いどころになってくる。
酒井宏樹(マルセイユ)、長友佑都(インテル)ら背後にいるサイドバックとともに2対1の状況を作ったり、インサイドの選手との連係でゴール前に侵入したり、考えられる攻撃のパターンやアイディアはいくつもある。
振り返ってみると、2018年ロシアW杯アジア最終予選突破を決めた8月31日のオーストラリア戦(埼玉)でも、乾と浅野がスタートからピッチに立った。彼らは入りからスパートをかけ、力尽きるまで駆け回り、久保と原口と交代している。今回もそういうイメージで体力の続く限り、走り切ってほしいものだ。