求められる明確な結果。自らの手でロシアへの道を切り開く
「バイエルンとやる時は、耐えながらなんとかボールを運んでっていう感じで、とにかく慌てないことですかね。(ボールを)取った時にまたすぐ取られてしまうときついので、取った時にどれだけ落ち着けるか。そこが肝心だと思います。あのブラジルが組織でやってるので、中はやっぱり堅いと思う。だからこそ、サイドから崩していくことが必要になる。サイドバックと2対1を作れたりするシーンももしかしたらできるかもしれない」と長友と組むであろうタテのホットラインを最大限有効活用することも視野に入れていくという。
ボスニア人指揮官も、原口が合流した6日にはつきっ切りでサイドアタックを指導。65歳の老将は自ら左サイドのドリブル突破をデモンストレーションして見せ、インサイドハーフやサイドバックとのワンツーから中に入っていくプレーを原口に要求していた。
本田圭佑(パチューカ)、岡崎慎司(レスター)、香川真司(ドルトムント)のビッグ3がメンバーから漏れた今回、W杯アジア最終予選4試合連続ゴールという勝負強さを示してきた原口にはより一層、ゴールへの期待が高まる。日本代表では昨年11月のサウジアラビア戦(埼玉)から数字を残していないだけに、そろそろインパクトの大きな仕事をしなければ、本当にロシアへの道のりが危うくならないとも限らない。
日本代表でゴールを取りまくっていた時はヘルタでも絶好調だったが、今はその逆。それでも結果を残さなければならないのがプロフェッショナルである。数々の修羅場をくぐり抜けてきたこの男には、その厳しさがよく分かっているはず。このブラジル戦で目に見える結果を残せば、直近の11月5日のヴォルフスブルク戦でベンチ外になったクラブでの苦境打開の糸口もつかめるのではないか。
そういう意味でも、今回の一戦は原口元気にとって単なるフレンドリーマッチではない。自分自身のキャリア、そしてロシアW杯行きの夢を賭けて、持てる力の120%を出して戦い抜いてもらいたい。
(取材・文:元川悦子【リール】)
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