フットボールチャンネル

日本代表 7年前

大久保嘉人の回想。日本代表、W杯での成功と失敗。過去2大会の対照的な経験

text by 加部究 photo by Shinya Tanaka, Getty Images

3試合で勝ち点1の惨敗。「4年間何をしてきたんだろう」

W杯2大会を経験した大久保。ブラジル大会のときには4年前から「成長していないじゃないか」と感じたという
W杯2大会を経験した大久保。ブラジル大会のときには4年前から「成長していないじゃないか」と感じたという【写真:田中伸弥】

 初戦を落とした日本は、3試合で勝ち点1しか取れずに敗退する。一方で長く日本代表から離れていた大久保は、残り2試合をスタメンで戦い抜いた。

「ザックさんは泣きながら一人ひとりと別れの握手をして回るんですが“おまえをもっと早く呼んでおけば良かった”と言われました」

 2つの大会で7試合を戦ってみて、まったく太刀打ちできないと感じた相手はひとつもなかった。

「これはスペインでも感じたことですが、外国人は勝負に対する気持ちや狡猾さが小さい頃から染みついている。そこが大事な試合で、僅差の明暗を分けるのかな、と思いますね」

 南アフリカ大会から4年間、ずっと考えて言い続けて来たことがある。

「僕は2006年ドイツ大会以降しか知らないですけど、日本はワールドカップが開かれる4年ごとに方向性が変わるので、どんなサッカーをするのか判らないですよね。

 結局ブラジル大会の前にも、チーム内で4年前と同じような論争が起こった。でも今度はまとまりませんでした。いったい4年間何をしてきたんだろう、成長していないじゃないか、と感じました。

 個人的に、理想はチリです。みんなでよく走って攻守にハードワークをする。それを継続していけば、日本人は規律も守るし、俊敏性も活きる。かなりいいところまでいけるようになると思うんですよ」

 2つのワールドカップに対照的なアプローチで臨んだ貴重な体験者ならではの声だった。

(取材・文:加部究)

※全文は『フットボール批評issue18』本誌でお楽しみください。

【了】

批評18表紙

『フットボール批評issue18』
定価1620円

ベスト16への道筋を探る
日本代表「W杯勝利学」

優れた視点・経験を持つ選手、監督、識者が、日本代表が本大会で成功を掴むためのポイントを考察する。そのほか、監督論、GK論、クラブ経営論などを掘り下げ批評していく。

【目次】
■積年の課題とハリルホジッチの思惑
■本田圭佑をロシアに連れて行け
■歴代大会から読み解く成功のカギ
■乾と柴崎が見せる「スペインフットボールの思考回路」

成功と失敗を知るW杯戦士の証言
■宮本恒靖(ガンバ大阪U-23監督)INTERVIEW
■大久保嘉人(FC東京)INTERVIEW

常勝軍団の監督論
■石井正忠(鹿島アントラーズ前監督)INTERVIEW

日本人GKの生きる道
■権田修一(サガン鳥栖)INTERVIEW

■高松大樹 元プロサッカー選手、政治家への転身
■FC東京-アカデミーの掟
■ザスパクサツ群馬の闇

など、160ページの大ボリュームでお届け!

詳細はこちらから

1 2 3 4

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!