ブラジル大会でのサプライズ選出。「絶対に入らないと思っていました」
南アフリカワールドカップを終えると、日本代表監督にはアルベルト・ザッケローニが就任するが、イタリア人指揮官が3年間で大久保を使ったのは1試合だけだった。しかしブラジルワールドカップが近づくと、川崎への移籍1年目から2年連続得点王の大久保を、日本代表に待望する声が日に日に高まった。
「絶対に入らないと思っていましたからね。かなりのサプライズでした」
大久保は、土壇場で2度目のワールドカップに滑り込む。ただし逆にザッケローニ監督の方が、大久保の適性を把握し切れていない様子だった。本大会開幕のコートジボワール戦後半、大久保が交代出場のために呼ばれたのは1-0でリードしている場面だった。だが同点に追いつかれ、指揮官がカードを切るのを躊躇している間に逆転された。
「相手が(ディディエ)ドログバを出して来た時に、ザックさんもここをどう乗り越えていくのか困惑したと思います。そこで逆転され、すっかり動揺しまっていた。とにかくゴールに向かってくれ、と送り出されました」
大久保はワントップとしてピッチに立つが、すぐに方針は変更され、本田がトップに上がり、香川真司が左からトップ下へ移行し、大久保は左サイドに回った。
「この試合も序盤は良かったと思うんです。でも徐々に動きが落ちてプレッシャーをかけに行けなくなり、まずいなと思いながら見ていました。逆転負けなので、精神的にもダメージは大きかったですね」