パスのデータに見るハリルジャパンの攻撃プラン
それではハリルホジッチ監督が日本代表チームに落とし込もうとしているコンセプトとはなんだろうか。庄司氏はハリルホジッチ監督が「最もいい試合をしたと思う」と語ったオーストラリア戦で、それが明確に表れているという。
「アウェイでやったオーストラリア戦もそうだったのですが、日本はポゼッション率だと相手より劣っているものの、前線の選手にはボールが入っているんです。パス受けについての数字を示した【表1】を見てもらえればわかるように、アウェイのオーストラリア戦では本田、香川、原口、小林悠のパス受けが上位4人になっています。4人の合計だけで全体の50%弱を占めているくらいです。
そして今年8月のオーストラリア戦では、アウェイのときほど顕著にはなっていないですが、大迫と乾のパス受け数が上位に入っています。守備的という言い方をされることもありましたが、パスを入れるべきところにはボールが入っているんです。ホームの試合についていえば、シュート数は18対5と日本が圧倒的に上回っていますし、単純に『守備的なサッカー』とは言えないと思います」
さらに庄司氏は、前線の選手にボールを供給することそれ自体とは別のところにも、コンセプトが読み取れる数値データがあるという。それは「パスのルート」だ。
「8月のオーストラリア戦でパスのやり取りが多いルートをあぶりだしてみると、井手口と山口のところではなく外側をボールが経由していることが見て取れます。特に右サイドは吉田から酒井、酒井から浅野に出るパスが多いですね。それは先ほど言った『中央を通すことのリスク』の問題だと思います。『危ないところには通すな』ということではないでしょうか」
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