堅守速攻に不可欠なデュエル。予選の延長となった本大会
MFにはボールを奪う能力、FWにはスピードと個で突破できる能力が求められる。さらにサイドアタッカーには守備組織にも入ってもらわなければならないので運動量と守備力も要求される。戦術を変えたので選手もそれに合わせて変更された。パスワークの上手い柏木陽介や大島僚太に代わって、井手口陽介や今野泰幸が起用された。サイドアタッカーには原口元気が定着し、予選を通じてMVP級の活躍をみせた。
堅守速攻スタイルの典型が予選突破を決めたオーストラリア戦だ。MFには長谷部誠、井手口、山口のボールハンター3人。サイドには俊足の浅野拓磨と乾貴士。アグレッシブな守備でパスワークを寸断し、縦に速いカウンターを仕掛けている。
デュエルにもいろいろあるが、中盤でボールを奪う、こぼれ球を勝ちとる、カウンターを仕掛けて突破する、これらのデュエルに勝たないと堅守速攻は成立しない。加えて、縦パスを収めてカウンターの起点となる1トップの競り合いデュエルも重要で、これについては彼以外に該当者がいない大迫勇也が担当した。
ロシアワールドカップでの日本はポッド4の可能性が高い。一番弱いグループとされているので、グループリーグで対戦する相手(ポッド1~3)はすべて格上という位置づけになる。格上との対戦では堅守速攻が定石。その点では、アジア予選からそのスタイルでプレーしているので違和感はないだろう。これまでのように予選と本大会でメンバーや戦い方の調整を行う必要もない。アジアで堅守速攻を余儀なくされたのが良いかどうかはともかく、珍しく予選の延長が本大会という流れになった。
(文:西部謙司)
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