勝利の鍵は守備。世界を驚かす「下剋上」のために
酒井宏樹の言うように、高い位置からハイプレスにいき、ネイマールにいい形を作らせないように追い込めれば理想的。だが、逆に日本の守備が1枚、2枚とはがされて、次々とギャップが生まれるリスクもある。そうなったらGKのスーパーセーブでも出ない限り、失点は避けられないだろう。
だからこそ、最後の砦としてゴールマウスを守るであろう川島永嗣(メス)は「1対1のところで負けないことが大前提。(2014年ブラジルW杯の)コロンビア戦のように、W杯になれば個で自分たちが負けてたら、もうそれ以上のことはない。こうすれば勝てるっていう1つの答えはないけど、前を向かせないように1対1でしっかり戦っていくしかない」とまずは個人個人が守備のタスクを確実に果たすことを強く求めていた。
まだまだ発展途上の日本代表がデュエルの部分でブラジルに勝つのは容易ではないが、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)準決勝・上海上港戦で浦和レッズの槙野智章がフッキを止めたように、絶対に不可能とも言い切れない。
プレミアリーグでウィリアン(チェルシー)やロベルト・フィルミーノ、フィリペ・コウチーニョ(ともにリバプール)らと対峙している吉田麻也(サウサンプトン)も「ウィリアンとかのクラスになると時間を与えると何でもできてしまうし、ワンチャンスをモノにする力を持っている。個人としてチームとしてどれだけスペースと時間を与えないか、一番得意な形に持ち込ませないか、こまめにポジションを修正していけるか、集中力を欠かさないか」をポイントとして挙げていた。
そういう意識を守備陣のみならず、チーム全員が高く持ち、90分間ハードワークを続けることができれば、ブラジルとの負の歴史に終止符を打つことも夢ではなくなる。川島、吉田、酒井宏樹という現日本代表不動の守備陣は、世界が驚く「下剋上」を果たすべく、集中力を研ぎ澄ましている。
(取材・文:元川悦子【リール】)
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