経験不足でも…競争を喚起する重要な存在に
懸念材料があるとすれば、同じ中盤の山口蛍(C大阪)や井手口陽介(G大阪)らとのプレー経験が皆無に近いこと。コンビネーションの構築も容易ではないが、ポーランド、ベルギーを経て、自ら周囲にアクションを起こしていく力は身に着けた。
それを最大限に駆使して初めて、国際Aマッチ2試合出場という日本代表での経験不足を補える。「外人相手だと気を遣わずに遠慮なく要求できる」というスタンスを、日本代表でも貫いて、山積する課題を越えていってもらいたい。
「メディアの方々は香川真司が外れて、彼ら(森岡や長澤和輝=浦和)が入ったってことで注目するだろうし、本人たちもW杯に行くために限られたチャンスを生かさなければいけないと感じると思う。そこで力を出せるかどうかが一番大事であって、一番難しいところ。レベルが高くなればなるほど競争が激しくなるけど、毎試合ラストチャンスだと思ってやるしかない」と吉田は期待を込めて森岡らに奮起を促した。
守備のリーダーが言うように、国際舞台で実績のない彼らが最終的に香川らとの競争に勝つには、今回のようなビッグチャンスをモノにすることが先決だ。それは森岡自身が誰よりもよく分かっていること。
0-4で惨敗したアギーレ監督時代のブラジル戦(シンガポール)に先発出場し、凄まじい実力差に打ちのめされ、日の丸から遠ざかった苦い経験を晴らすべき場が次のブラジル戦になれば理想的。紆余曲折の3年間を糧に、攻守両面で泥臭く貪欲に戦う森岡亮太の姿をぜひとも人々の目に焼きつけてほしい。
(取材・文:元川悦子【リール】)
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