バイエルンはもはやライバルではない…?
厚かった王者の壁を前に、悔しさが残った。11月4日、ブンデスリーガ第11節。バイエルン・ミュンヘンを迎え撃ったボルシア・ドルトムント。これから始まる首位攻防戦に、ジグナル・イドゥナ・パルクに詰め掛けた観衆の期待は、否応なく高まっていた。だが、試合が進むにつれて見せつけられたのは、圧倒的な力の差。90分が過ぎる頃には、ユップ・ハインケス率いるチームを、もはやライバルと呼ぶのもおこがましかった。
香川真司は[4-2-3-1]のトップ下で先発出場。守備時には[4-4-2]の布陣でピエール=エメリク・オーバメヤンと2トップを組み、ボランチのハヴィ・マルティネスをケアしながら、DFにプレスを仕掛けていった。しかし、バイエルンの選手たちが繋ぐボールを、ブロックの中で網の目に引っ掛けることがなかなかできない。
「ブロックを引く時と行ける時を判断する中で、ある程度チームとしてリトリートした中で行けるのであれば、どんどんプレッシャー行こうというのはチームとしてあったので、そういうところではなかなか捕まえ切れなかったのかなあとは思います」
一方でドルトムントは、自分たちがボールを持っている時に、後ろから繋いでいくことができない。例えばCBのエメル・トプラクから、ボランチのゴンサロ・カストロにパスが渡っても、中央で敵に奪われてしまう。
「どれだけ後ろからビルドアップするかっていうところで、やはり前半は特に欠けていたし、自分たちでボール回しを、消極的な回しになっていたのを、相手がたぶん、簡単にボールを蹴らせれば良いっていう感覚があった」
中盤の底で展開力のあるユリアン・バイグルに対して、チアゴやハメス・ロドリゲスがマークに付くなど、バイエルンも、ある程度の“対策”を講じてきた。ロングボールを蹴らざるを得ない場面が、どうしても増えるBVB。1対1になかなか勝てず、セカンドボールを拾われ、「主導権を握られて」しまう。
「チームとしてやっぱり主導権を握られたし、最初で。それは彼らの個の力が呼び寄せたと思うので、それでどうしてもちょっと難しくなりましたし、ちょっと恐れることも増えたので、結果論ですけど。ただ、そこをどれだけ積極的にやらないと、こういうビッグチームには勝てないですし、まあ、勝つことは難しいのかなあという感じですけど」