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ローマの3-0圧勝劇は偶然にあらず。チェルシーを粉砕、完璧な戦術が凝縮された90分間

チャンピオンズリーグでチェルシーが完封負けを喫した。しかも3点を奪われて。成し遂げたのはローマである。凋落が叫ばれていたセリエAで、異彩を放つのは攻守に組織された柔軟なサッカーを展開するエウゼビオ・ディ・フランチェスコ監督の手腕。かつて“異端”とされた恩師の考え方を現代に持ち込み、力の源泉としている。(取材・文:神尾光臣【イタリア】)

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

チェルシーを崩壊させた2点。ローマが圧勝

エル・シャーラウィ
ステファン・エル・シャーラウィが2ゴール。チェルシーの守備陣を切り裂いた【写真:Getty Images】

 チャンピオンズリーグ(CL)グループステージ第3節において最大の事件のひとつは、チェルシーが本拠地スタンフォード・ブリッジでローマ相手に3-3のドローに持ち込まれたことだった。しかも内容で優勢だったのはむしろローマで、彼らは決まれば4点目で勝ち越しとなるシュートチャンスさえ作っていたのである。

「あの時は(故障者が多く)緊急事態だった。だがその最悪な時期も過ぎた。ロンドンでの試合と同じことにはならない」

 チェルシーのアントニオ・コンテ監督は、30日に行われたCLグループステージ第4戦、アウェイでのローマ戦前日記者会見で自信のほどを見せていた。しかし、2週間ぶりのリマッチはコンテが望んでいたこととは異なる試合結果となった。3-0。圧勝したのは、ローマだった。

 試合開始直後にして、ローマは速攻1本でチェルシーの守備を崩した。左サイドバックのアレクサンダル・コラロフから、中盤を省略したミドルパスが前線のエディン・ジェコヘと通り、ボスニア人FWはヘディングで背後のスペースへと流す。

 するとそこには、右サイドから鋭角に走りこんだステファン・エル・シャーラウィが詰めてきた。対面にいた左ウイングバックのマルコス・アロンソがカバーに入るが、それよりも早く落下点に入り、そのままノートラップでシュートを打った。

 その後チェルシーは、エデン・アザールを軸に猛攻を仕掛け、ローマのGKアリソンにシュートを浴びせ続ける。しかし36分、ローマはまたも似たような形で追加点を奪った。今度はラジャ・ナインゴランが、前線にミドルパスを入れる。しかしこれをアントニオ・リュディガーが、カットもせずにそのままスルーしてしまう。そしてその先は、やはり右サイドから中へと走りこんできたエル・シャーラウィがいた。彼はまたもチェルシーの守備陣より先にボールに触り、ゴール右隅へと流し込んだ。

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