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吉田麻也と岡崎慎司、プレミアで成功の要因。苦境で培った「しぶとさ」と尽きない向上心

text by Kozo Matsuzawa / 松澤浩三 photo by Getty Images

「しぶとさが自分の良さ。絶対にこのままじゃいかない」

鎌田大地
岡崎慎司はドイツで苦しむ2人の若手、関根貴大(左)と鎌田大地(右)にアドバイスを送った【写真:Getty Images】

 タフなこのリーグで、2人の日本人選手が恒常的に活躍している。英国に長く暮らしてプレミアリーグを追いかけてきたが、ほんの数年前までそういった時代が来るのはまだ先のことだろうと感じていた。2012年に吉田がやってきた際には、内心「日本人選手、特にDFにはハードルが高過ぎなのではないか」と感じた。しかし、いい意味で裏切られた。
 
 エバートン戦後、岡崎に両選手がプレミアリーグで成功できた理由を直接聞いてみた。

「(今は)また正直第2ステージ。ラニエリのときもあったが、チームが何かを変化するときに、どうしても自分が枠からちょっと外れている部分がある。ただ、僕は後半から強いと思うので。そういう意味では徐々に、『やっぱりこいつは必要だ』と思わせるようにしていきたい。やり続けることが、日本人としては大事というか。その一発で何とかするというモノがもともと僕にあれば、もっと早く先に海 外へ来ていたはずだし(笑)。ただ自分の背景を見ても、一気に監督の信頼をつかむというよりは、徐々にそのスタイルだったり、チームに浸透しているものを自分が理解して、そして自分が『こういう時に力を出せばいいのか』ということを出していく」

「今日の15分(のみの出場)は悔しいが、でもこの15分がスタート。あそこで次は何ができるという、そういう風に(考えている)。今だったらインゴルシュタットの関根(貴大)くんとか(フランクフルトの)鎌田(大地)くんとか、若い選手たちも監督が急に変わったりとか、1回使われただけで信頼を失ったりとかしていくと思う。

でもどうしてもそれを繰り返していくんですよね、日本人は。そういう風に、サッカーが強い国だとは思われていないと思うので(笑)。でも、しぶとさが日本人のひとつの良さだと思っているし、自分の良さだと思ってるんで、じわじわ攻めつつ。絶対にこのままじゃいかない。特にインテンシティーが高い試合では、自分が必要になると思う」

 2000年代初頭の西澤明訓、川口能活、そして稲本潤一に日本人選手のプレミアリーグ挑戦が始まって以来、ここまで来るのに長い年月がかかった。そういう意味では、実際に長い間トップチームに定着して試合に出続けている吉田・岡崎の両選手は、いまだに草分け的な存在と呼べる。

 ここ数年、英国では毎年のように就労ビザ取得に関わるルールが厳しくなり、EU圏外の選手が入り込むのが厳しくなったプレミアリーグ。だが先人である彼ら2人が活躍して、日本を代表する選手としてさらなる売り込みしてくれれば、将来的にプレミアリーグでのプレーを夢見る後輩たちにとってもプラスになるのは間違いない。それは彼ら自身も重々承知だ。だからこそ、ベテランの域に達したが、両選手はこの地でさらなる飛躍を目指している。

(取材・文:松澤浩三【イングランド】)

【了】

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