岡崎が変えたゴールへの意識。新監督就任で始まった新たな挑戦
エバートン戦前には地元紙のなじみの番記者数人と話したが、中には「なんでシンジを使わないんだ。彼は間違いなく、今季のレスターのNo.1プレーヤーだ」と憤っていた人間もいたほどである。サポーターも同じ気持ちだったようで、前半途中に岡崎がウォーミングアップを開始した際には、大きな拍手で迎えていた。
好調の理由はいくつか考えられるが、最も重要なのは自身の意識の違いだろう。クレイグ・シェイクスピア前監督の下で、岡崎は過去2シーズンよりも高い位置でプレーするように心がけていた。これまでどおりのハードワークをしながらも力を抜けるところは抜いて、よりゴールへ意識を傾けるといった内容だ。守備に戻るタイミングを以前に比べて微妙に遅くし、味方のボランチを使う。
「それでもう間に合わなかったら自分がいけばいい、という感じで遅れて守備する感覚です。前は必死に戻って必死に上がってやっていたが、いまは我慢して真ん中にいたりとかしている」
また、出場時間についても今までとは異なった考えを持つようになり、それも奏功している要因だろう。「先発でも途中からでも変わらない意識でやりたい。10分だろうが、20分であろうが、決定機で点を取る(意識を持っている)。もちろん90分間ずっとやりたいが、立場だったり、ストライカーが多い中ではなかなか難しい」と現実的だ。
とはいえ、10月下旬に監督が交代。奇しくも昨季セインツで吉田を指導した、ピュエルがレスターの指揮を執ることになった。それだけに今後どのような戦術になり、どのような起用法になるのか分からない。岡崎はリーグ戦先発出場わずか6試合で4得点を決める快調なスタートを切ったが、今後はどう転ぶかは分からない状況になっている。それでも持ち前の明るさで、「またイチから(やり直し)」と笑う。
「切り替えてこのチームでどう結果を出していくか。また新しいチャレンジなんで、楽しみです」
31歳になり、焦りがないはずはない。ただ、そういった状況で、虚勢なしで新たな挑戦を楽しむと言い切れるのが岡崎の強みだ。