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吉田麻也と岡崎慎司、プレミアで成功の要因。苦境で培った「しぶとさ」と尽きない向上心

text by Kozo Matsuzawa / 松澤浩三 photo by Getty Images

「アベレージで6.5を出していけばいいやと思っていない」

 プレーを見ていて感じる以前との違いは、過去2年程度、吉田が継続してシンプルに守備のタスクをこなそうとしている点だ。プレミアリーグのサッカーにおいてディフェンスとは、まず「跳ね返すこと」であり、激しいタックルやブロックで敵を止めるプレーである。だが以前は、この英国流の守備者の仕事をこなす前から、その上を目指している印象を受けた。

 華麗なインターセプトや前線へのビルドアップがそれに当たる。そのせいか、一瞬の集中力を切らして抜き去られたり、不用意なバックパスでポカをする場面が見られがちで、セインツファンの吉田評は総じて「麻也はいいときもあるが、ミスが多すぎる」といったものだった。

 しかし一昨季途中あたりから「なるべくシンプルなプレーでミスを減らすこと」といった趣旨のコメントが増え、基本的な部分をクリアしたうえでプラスアルファをつけ、そこからより高みを目指している。

 今季のプレミアリーグ第7節のストーク戦後。吉田は「ビルドアップに関しても守備に関しても、まだまだレベルアップしなくてはいけないし、全然現状には満足していない」と呟き、こう続けた。

「これでいいやとか、アベレージで(10点中)6.5を出していけばいいやと思っていないし、毎試合(同)8点を出していけるような選手になりたい。やはりトップ5のセンターバックはベーシックがあって、それ以上のプラス何かがあるから。そこに食い込んでいくためには、そういったところを身に着けていかないといけないと感じている」

 直近の第10節ブライトン戦では今季2度目のスタメン落ちとなったものの、レギュラー奪還のために、今週は新たな気持ちで再び練習に励んでいくはずだ。英国に到着して以来、過去5年以上、常にそうやって自身を磨いてきたのである。紆余曲折があったからこそ、今の吉田の好調がある。これは、日本代表で一緒にプレーし、オフ・ザ・ピッチでも友人の岡崎慎司もよく話していることである。

「麻也も我慢の時期が長かった。あんだけ(調子)いいのにセンターバックが帰ってきて、また出るか出ないかの戦いになると思う。プレミアリーグでは安定はない」

 ただそれはレスターで3年目となる岡崎本人にとっても同様だ。自分の置かれた状況に重ね合わせて出てくる言葉ともいえるだろう。先日も、第10節のエバートン戦で先発を外れた。前節のスウォンジー戦で決勝点を挙げたのにも関わらず、だ。

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