予選がないことは「チャンス」。ベストかつ最強の五輪代表づくり
アンダー世代の才能を確信したトルシエ監督は、ワールドユース選手権やシドニー五輪のアジア予選が立て続けに行われた1999年のA代表を、いい意味で捨てていたと言っていい。予選が免除される開催国だからこそ、大胆に映るようで、その実はプランに沿った緻密なチーム作りが可能だった。
その意味ではトルシエ監督と同じようなコンセプトを描くことが、森保監督にも可能になる。東京五輪代表チームの中核を形成するのは、今年5月に韓国で開催されたFIFA・U-20ワールドカップを戦ったU-20日本代表となる。
もっとも、本大会開催時で23歳以下という年齢制限が物語るように、インドで開催されたFIFA・U-17ワールドカップを戦い終えたばかりの、16歳のFW久保建英(FC東京U-18)を含めたU-17日本代表ももちろん3年後の候補に入ってくる。
「選手選考については、五輪に出場できる世代の選手であれば、年齢や実績に関係なく五輪に出場する扉は開かれている。その世代の選手、五輪に出たいと思っている選手には、夢を目指してひたむきに頑張ってほしいと思っています」
1997年1月1日以降に生まれたすべての選手たちへ、森保監督は就任会見を通じて熱いエールを送った。体の成長とともにこれから台頭してくる選手もいれば、発掘の網から漏れている選手もいる。
だからこそ、予選のないことを逆転の発想でチャンスととらえ、日本サッカー界を挙げる形でベストかつ最強の五輪代表を作っていきたいと力を込めた。
「これまでの世代別代表の監督の方々や協会内部、Jリーグ、大学、高校といろいろなところから情報をいただきながら、選手が埋もれて終わることのないような、少しでも多くの選手に成長してもらえるような選考をしていきたいと思っています。
選手を固定するよりも、東京五輪までの2年半ぐらいの期間の中で、いまの年代でトップの選手の間で力関係が変わってきたりする年代だと思いますので、より多くの選手を見ながら、選手個人の力、チーム全体の力を引き上げていきたいと思います」