イケル・カシージャスは1月にポルトを退団しなければならないかもしれない【写真:Getty Images】
スペイン代表通算167試合出場を誇るレジェンドGKイケル・カシージャスは、所属するポルトで突如として出場機会を失った。
リーグ2位となった昨季に続き、今季も開幕から正守護神として出場を続けていたカシージャスだが、今月16日のチャンピオンズリーグ(CL)グループステージ第3節RBライプツィヒ戦でジョゼ・サにポジションを譲ると、続く21日の国内リーグ第9節のパソス・デ・フェレイラ戦でもベンチに座ることとなった。
一時は「携帯電話の使いすぎ」によって先発を外されていると報じられていたが、ポルトのセルジオ・コンセイソン監督は「単純に技術的な理由」とその憶測を否定。それでも、これまで一貫してカシージャスに次ぐ第2GKとして扱われていたジョゼ・サが、今後もゴールマウスを守ることになりそうだ。
突然の守護神交代にはポルトの財政的な理由も含まれているという。欧州各国メディアによれば、ポルトガル屈指の名門は欧州サッカー連盟(UEFA)がクラブの財政健全化を推し進めるために定めている「ファイナンシャル・フェアプレー(FFP)」の規則違反で処分対象になる可能性があるようだ。
そのためチーム内で最も高額な給与を受け取っているカシージャスを放出し、FFP違反のリスクを軽減しなければならないとされている。年俸総額を減らすだけでなく、今季末で契約満了を迎えるカシージャスを放出して移籍金を得るには、直近の来年1月に売却するしかない。
英紙『サン』などによれば、緊急を要する状況でカシージャス獲得に手を挙げているのは、リバプールとニューカッスルというプレミアリーグの2クラブだという。
前者はシモン・ミニョレが正守護神を務めているが、加入当初から不安定さを指摘されており、移籍市場が開くと毎回のようにGK補強の必要性が叫ばれてきた。控えのドイツ人GKロリス・カリウスも安定感を欠くプレーを連発しており、カシージャスを欲するだけの合理的な理由がある。
ニューカッスルは経験豊富なカシージャスを、プレミアリーグ残留のためのラストピースとして考えている様子だ。現時点で7位と好発進を切ったが、GK陣はレギュラーのロブ・エリオット以下、カール・ダーロウとフレディ・ウッドマンの3人で、他のクラブに比べて見劣りするのは否めない。
カシージャス本人はポルトでプレーを続ける意思を表明しているが、クラブの財政危機となれば動かなければならない時が来るかもしれない。36歳を迎えた世界屈指のレジェンドGKのプレミアリーグ初参戦は実現するだろうか。
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