西大伍が指摘する、鹿島のアドバンテージ
三竿も土居の意見に同意し、鹿島が9度目のリーグタイトルを手に入れるためには、自分たちで試合の主導権を握れるようにする必要があるという考えを述べた。
「最初にやられすぎてしまって、全員でそこからやり返す必要がありました」
6月に大岩剛監督が石井正忠前監督から指揮を引き継いで以来、不動の存在として出場を続けている21歳は語った。
「僕らは先制して点差をつけてから良いプレーができるようなチームだと思います。だからしっかり戦い続けるためには先制点を狙うこと、先制点を取られないようにすることが大事ですね」
「(優勝の)経験がある選手は多いので、今はそういう選手たちが中心になって一致団結する必要があると思います」
西大伍も同じく、タイトルを獲得してきた実績こそが昨季王者にアドバンテージをもたらすと感じている。
「それは絶対に意味があると思います。毎年優勝争いに加わって、そういうプレッシャーの中で成長してきました。それが(川崎との)差だと言えるかどうかは分からないですけど、僕らには自信があります」
一方でマリノスは、鹿島を下したことで3位に浮上。首位との差はまだ9ポイント開いているとはいえ、ACL出場権を逃さないためにも、残り試合で勝ち点12を全て手に入れることを狙っていくとダビド・バブンスキーは話していた。
「シーズンの最後まで、残りの試合に全部勝って3位を守れるチャンスは十分にあると思います」とマケドニア代表MFは語る。
「大事なのは自分たち次第だということです。このチャンスを逃すわけにはいかない」
バルセロナのユース育ちであるバブンスキーは、優勝争いの見通しについて明言は避けた。事実上鹿島と川崎Fのマッチレースであることは認めながらも、2強に向けて棘を含んだ警告を発することも忘れはしなかった。
「どちらもクオリティーの高いチームで、素晴らしい選手たちがいて、素晴らしいスタイルのサッカーをしています。彼らにとっては最終節まですごく面白い接戦になると思います。僕らも後ろにいるので、もし気を抜くようだと……」
ここからマリノスが優勝したとすれば、Jリーグの25年間の歴史の中でも最大の逆転劇のひとつとなるだろう。だがそうならなくとも、J1王座の争いは今回も最後までもつれ込むことになりそうだ。
(取材・文:ショーン・キャロル)
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