実況アナウンサーが叫んだ「ケ・ゴラッソ!」
「ケ・ゴラッソ!(何というスーパーゴールだ!)」と現地放送の実況アナウンサーも叫ぶゴールはパチューカの聖地“エスタディオ・イダルゴ”のスタンドを熱狂させた。だが“ホンダ・ショー”はこれで終わりではなかった。
前半終了間際の44分、エルナンデスのインターセプトを起点にグスマンがつなぎ、ハラが下がりながらボールを受けると、それを外から追い越した本田が右の相手最終ライン裏に抜け出す。最後は飛び出してきたGKビクトル・エルナンデスをあざ笑うような左足のキックでゴールに流し込んだ。
後半には右サイドの浅い位置で囲まれてボールを奪われた危ないシーンもあったが、直後にはカウンターのチャンスにゴール前まで走り込み、逆サイドから進出したアンヘル・サガルによるチームの4点目を見届けた。さらに左の仕掛けから途中出場のヘルマン・カノが5点目を決める。直後に本田は大歓声に見送られベンチに退いた。
この日は守備の仕事をこなしながら、右ウィングからあまり中に流れず、中盤の3人にパスワークを任せてチャンスメークや高い位置でアクセントをつけることに徹していた。そこから周囲とうまく絡んでフィニッシュに持ち込み、2つの見事なゴールを記録したことで、「右ワイドの本田」としての存在感をディエゴ・アロンソ監督やチームメート、そしてパチューカのファンに印象づけたことは間違いない。
本田のビジョンにはインサイドでのプレーが明確にあるはずだが、与えられたポジションで結果を残したことで、ここからの継続的な起用を引き寄せたことは間違いない。1つ言えることは前回の日本代表メンバーから外れた数週間前より着実にメキシコの環境やチームにフィットし、コンディションを上げているということ。11月に欧州遠征を控える代表はもちろんリーガMX前期の終盤戦、さらにはクラブW杯でのパフォーマンスが楽しみになってきた。
(文:河治良幸)
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