コーチ陣の動きも含め、トレーニングでは効率化に着手
伝統のハードワークをベースに、昨季からの取り組む攻撃スタイルの継続を目指した今季、チームは早めにメンバーの固定化を進め、ファンマ・澤田崇・飯尾竜太朗・島田讓・増田卓也らの戦術理解を集中的に高める一方で、好調な選手を積極的に起用。
これによって、新戦力が軒並み活躍するだけでなく、翁長聖・中村慶太・田上大地・北谷史孝・吉岡雅和ら若手の台頭も進み、主力陣に故障者が出ても戦力を落とさずに戦える層の厚みも生まれていった。
それでもクラブの運営引き継ぎ先を巡って先行きが不透明となった4月中旬には3連敗を喫してしまったが、ジャパネットによる新体制となった4月末からは徐々に安定感を取り戻している。
もちろん全てが順調だったわけではない。5月の千葉戦では0-5の大敗を喫し、7月、8月も上位との対戦で苦戦することもあった。トレーニングにおいても同様で、特に夏場はオフ明けのトレーニングに選手たちが上手く対応できないことも多かった。
そんなとき高木監督はトレーニング内容や強度を細かく調整し、選手たちもそれに応えていくことで、徐々にチーム状態を安定させ、調子の波を小さくしていったのである。
またトレーニングでは事前準備や、コーチ陣が移動時に迅速に行動するといった効率化にも着手。質を落とさずに負担の軽減や時間短縮を推し進めた結果、故障者の復帰もスムースに進むようになり、致命的に選手が足りないという状況をほとんど迎えずに戦えるようになったのだ。
このトレーニング時間の短縮は、居残り練習を行う選手の数が大きく増やすことにもつながり、選手同士の相互理解を深める効果ももたらしたのである。
こうして状態を上手く整えることができたチームは、スカウティング能力に定評のあった高木監督のもとで勝点を積み重ね、7月の松本戦、8月の福岡戦、9月の徳島戦といった勝負所の試合を制し、7月からは一度もJ1昇格プレーオフ圏内から落ちることなく上位をキープ、J1自動昇格圏を争うまでに躍進した。