例年以上に高木監督が配慮した「一体感作り」
それだけに監督の「現場を守る」という思いは例年以上に強かった。事実、今季の高木監督は例年以上に選手やチームの一体感作りに配慮した。
誕生日を迎える選手がいればケーキを準備し、居残り練習では個別指導を行ない、練習中に率先して手を叩いてムードを盛り上げるなど、徹底的にチームを守る姿勢を崩さなかった。それがチームを例年以上に強くまとめあげ、リーグが進むほどその結束力をチーム力へと変える原動力ともなっていた。
こういった、覚悟や一体感がチームにとってメンタル面でのストロングというならば、戦力、戦術としてのストロングが周到な準備と継続性だ。今季の開幕までに16名の選手が入れ替わってスタートした長崎だが、これらの新戦力は単純な選手能力だけを考慮したものではない。
これまでも長崎の補強はチームへの適応性も重視してきたが、今季は幸野志有人、古部健太ら復帰組をはじめ、監督自らスペインで確認して獲得を決断したファンマ、2014年から獲得を希望してきた澤田崇、以前にも高木監督の下でプレーしたことがある福田健介などその傾向がより強くなっている。
これに加えて監督の下で長くプレーし、そのスタイルを熟知する前田悠佑、髙杉亮太、古部健太、チームのまとめ役でもある村上祐介、若手の信頼が厚い養父雄仁といったベテラン陣の存在がチームの融合を推し進めた。
それが結果として「若手とベテランのバランスが良い(養父雄仁)」というチーム作りにつながり、ここに高木監督のチームマネジメント能力と選手たちの奮闘が加わったのが今季の特徴となったのである。