今季終盤のテーマ。セレッソの初タイトルと盟友・石川直宏のラストマッチ
20代前半の頃、未来を先取りした指導を受けたことも大きかったと彼は見ている。
「昌邦さんから『90分の中で1人がボールを持ってる時間はわずか1~2分だ』と言われた時には、確かにそうだなと思いました。『2002年日韓ワールドカップで、ボールを奪ってから15秒以内のゴールが高い比率を占めた』というデータも見せられて、『15秒相手を遅らせられれば失点が減るんだな』と意識したし、今も1秒2秒を大事にして守備してます。
サッカーは年を追うごとに変化してますけど、テクニックだけじゃなくて、プラスアルファの部分で差をつけていくしかないという傾向は年々強まっている。走りやハードワークが重要視されているのも、その流れだと思ってます。
僕らがアテネ五輪の頃に言われたことと、今言われることはあまり変わってない気がする。あの時代に先を見据えた指導を受けられたことは、間違いなくベテランになった今につながっていますね。
昌邦さんにはそういう意味で影響を受けたし、城福(浩=FC東京前監督)さんにもサッカーへの情熱の大切さを学んだ。原さんやレヴィー(・クルピ=元セレッソ監督)もそうだけど、いい指導者に出会えたことはすごく大きかった。自分が引退した後、こういう貴重な経験を生かせたらいいと思います」
36歳になった今も真摯にサッカーと対峙する茂庭照幸。彼にとって今季終盤のテーマはセレッソの初タイトルに貢献すること。そして、長年の盟友・石川直宏(FC東京)のラストピッチに駆けつけることだ。
「ナオはJ3(FC東京U-23の出場)を目標にしているみたいなんで、様子を聞きながら自分もその試合に行けたいいですよね」
こうした発言をするのも人情深い茂庭らしいところ。それが叶うのか否か。そちらにも注目しながらシーズン終盤を見ていきたい。
(取材・文:元川悦子)
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