レスターの行方を左右しかねない今回の人事
さて、地元紙『レスター・マーキュリー』によると、スリヴァッダナプラバ・オーナーは次期監督にカルロ・アンチェロッティ、もしくはトーマス・トゥヘルの招聘を希望しているという。もし事実だとすれば、チャンチャラおかしい。
ACミラン、ユベントス、レアル・マドリード、チェルシー、パリ・サンジェルマン、バイエルン・ミュンヘンといったメガクラブを渡り歩いてきたアンチェロッティに、レスターは役不足だ。
トゥヘルはプレミアリーグに興味津々だが、クラブの伝統やステイタス、選手層など、より〈おいしい〉クラブからの接触を待っている。
10月23日にロナルド・クーマンを解雇したばかりのエヴァートンが早ければ今週末、遅くとも11月のインターナショナル・ブレイクまでには新監督を招聘する公算が大きく、来年になればチェルシー、アーセナル、ひょっとするとリバプールにも動きがあるかもしれない。
昨シーズン終了後、トゥヘルに接触を試みたサウサンプトンが、けんもほろろに断られたとの噂もある。こうした状況を踏まえれば、レスターは対象外だ。
結局、現場復帰を熱望するデイビッド・モイーズ、アラン・パーデュー、モラルの問題で古巣ユナイテッドの監督に就任することが絶望的になったライアン・ギグスなど、指導者として大きな疑問符がつく者の起用を余儀なくされ、スリヴァッダナプラバ・オーナーは選手、スタッフ、サポーターの反感を買うのではないだろうか。
権力を乱用せず、ときに失敗を許し、みずからにメリットがなくてもサポートするのが、すぐれたリーダーである。人心が離れたとき、組織は崩壊する……。シェイクスピア解雇という今回の人事は、レスターの行方を大きく左右するかもしれない。
(文:粕谷秀樹)
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