「私にとってはいい発見だ」(ハリルホジッチ監督)
一連のプレーは、決して派手さを伴うものではない。ハリルジャパンの10月シリーズに招集された井手口陽介、倉田秋の両MFとの壮絶なボールの奪い合いも、ガンバのカウンターになれば誰よりも早く帰陣する豊富な運動量も、どちらかと言えば玄人受けする。
「和輝のところでタメを作れるし、ボールを前へもち運べるからリズムができる」
長澤に対する柏木の賛辞も、目立たないところでチームを縁の下から支えていることを物語る。長澤のプレーを後方から見ることの多いDF槙野智章も、こんな言葉で長澤の泥臭さを表現した。
「ボールを奪う力に関しても、ウチのチームにはいない中盤の選手なのかなと。ああいう選手が真ん中にいることは、チームにとってもかなりプラス材料になりますよね」
もっとも、フランス語で「1対1の決闘」を意味する『デュエル』をチームのコンセプトに据える、日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督の目には、指揮官が好むタイプである長澤はいい意味でのサプライズに映ったのだろう。
埼玉スタジアムへ視察に訪れていた指揮官は、得点王争いで単独トップに立つ20ゴール目を決めたFW興梠慎三とともに名前をあげながら、長澤についてこう言及している。
「ナガサワは守備でも攻撃でもボリュームがあった。私にとってはいい発見だ。いい試合だったし、質の高さを見せてくれた選手は少なくない。このなかから、次の合宿に来る選手もいるだろう」
ハリルジャパンは11月の国際Aマッチデーでヨーロッパ遠征を行う。10日にブラジル代表戦(フランス・リール)、14日にはベルギー代表戦(ブルージュ)に臨む代表メンバーに、大抜擢される可能性も出てきた。
先発フル出場で勝利と10年ぶりのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)進出に大きく貢献した、18日の上海上港(中国)との準決勝第2戦から中3日。にわかにスポットライトを浴びはじめても、長澤は自身の足元をしっかりと見つめている。
「(ハリルホジッチ監督が)見てくれているのは嬉しいですけど、まずはこのチームで結果を残さないといけない。(日本代表は)その先にあることなので、目の前のことを意識してやれればいいかなと」