ドルトムントの急造最終ライン。途中までは順調だったが…
2-2で終えた試合の後で、長谷部誠が語った“勝ち切ることの重要性”。その言葉は、そのままボルシア・ドルトムントにも当てはまりそうだ。
「こういう試合を勝ち切れるか勝ち切れないかで、自分たちが上に行けるか行けないか、っていうのは変わってくるんじゃないかと思います」
10月21日のブンデスリーガ第9節、アイントラハト・フランクフルトとアウェイで対戦したドルトムント。ディフェンスラインは急ごしらえだった。CBでコンビを組んだのは、ボランチが本職のユリアン・ヴァイグルと、今季初先発のネヴェン・スボティッチ。ソクラティス・パパスタソプーロスは14日のRBライプツィヒ戦でレッドカードをもらって出場停止中で、エメル・トプラクは17日のチャンピオンズリーグ(CL)APOEL戦で太ももの筋肉を痛めていた。
守備陣に不安を抱えながら、前半は大崩れすることなく、1-0で折り返したドルトムント。19分、マルク・バルトラが右から入れたグラウンダーのクロスを、長谷部を振り切ったヌリ・シャヒンが、左足で押し込んで力強く先制する。57分には、マキシミリアン・フィリップがドリブルで持ち込み、左足を振り抜いて追加点。後半開始早々、立て続けにフランクフルトの攻撃陣にゴールへ迫られたが、守備陣が踏ん張って水際で防いだ。2-0で後半の半ばに差し掛かった。
そこで58分、ペーター・ボス監督が動く。ヴァイグルに代えてダン=アクセル・ザガドゥを、ゴンサロ・カストロに代えて香川真司を投入。ディフェンスラインの並びは、左からザガドゥ、バルトラ、スボティッチ、トルヤンとなった。急造ながら無失点で切り抜けていた最終ラインに手を加えた理由を、指揮官は次のように説明している。
「その局面でフランクフルトはより強力になり、多くのチャンスがあった。我々は既に2-0となる前には選手交代を行い、本職のDFを入れるつもりだったんだ。ユリアン(・ヴァイグル)はMFだ」
しかし、この交代策は裏目に出てしまったようだ。選手が入れ替わったディフェンスラインは少し不安定になり、敵にギャップを突かれてしまう。63分、トルヤンの裏に走り込んだアンテ・レビッチをGKロマン・ビュルキが倒してしまい、PKを献上。セバスティアン・ハラーにきっちり決められて1点を返される。さらに68分には、フィリップとザガドゥの間にスルーパスを通され、マリウス・ヴォルフにきっちり決められて同点に追いつかれる。試合は振り出しに戻った。