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Jリーグ 7年前

いまでも「責任を感じている」金崎夢生との一件。前鹿島監督・石井正忠の回想録【インタビュー】

常勝軍団・鹿島アントラーズの歴史にさん然と輝くタイトルや激戦の系譜を刻みながら、今年5月31日に解任された石井正忠前監督(50)。11月6日発売の『フットボール批評issue18』では、次なる挑戦へ向けて充電中の石井氏へのロングインタビューを敢行。波瀾万丈に富んだ自身の経験を踏まえながら、監督の仕事を冷静な分析とともに振り返っていくなかで、いまも「責任を感じている」と残念がる一件を明かしてくれた。先んじてその一端を紹介する。(取材・文:藤江直人)

text by 藤江直人 photo by Editorial Staff, Getty Images

監督解任後、スタンドで鹿島の試合を観戦する理由

10月上旬、都内某所でインタビュー取材に応じてくれた鹿島アントラーズ前監督・石井正忠氏
10月上旬、都内某所でインタビュー取材に応じてくれた鹿島アントラーズ前監督・石井正忠氏【写真:編集部】

 カシマサッカースタジアムのバックスタンドの一角には、鹿島アントラーズ前監督の石井正忠氏が購入しているシーズンシートがある。

 コーチ時代から購入してきた石井氏は、昨シーズンの4席を今シーズンになって11席に増やしている。「ちょうど一列分を買いました」と照れくさそうに笑いながら、知人たちを招待している意図を説明してくれた。

「席が多いほど、いろいろな方が来られるじゃないですか。僕らが現役だった頃に来ていたファンで、いまでは高齢になって来られなくなったお爺ちゃんやお婆ちゃんが、それこそ子どもや孫と3世代で来ることも可能になる。地元の人にどんどん見に来てほしいので、きっかけ作りとして使っています」

 なかには石井氏のシーズンシートで観戦したことでサッカーの楽しさに魅せられ、アントラーズのソシオメンバーになった人もいるという。輪が広がっていくことが嬉しくてたまらなかったからこそ、今シーズンから購入数を増やした。

 石井氏の夫人と愛娘もシーズンシートで観戦している。そこへ6月から、アントラーズの監督を解任された石井氏も加わるようになった。もちろん、観戦をはじめた当初は、ちょっとした騒ぎになったと今度は苦笑いを浮かべる。

「席に行き着くまで握手を求められることもあれば、ハーフタイムに一緒に写真を撮ってほしいとリクエストされることもありましたけど、最近は比較的落ち着きましたね。周囲もすべてシーズンシートで顔馴染みになったこともあって、娘にお菓子などをいただくこともあるんですよ」

 NTT関東(現大宮アルディージャ)から、前身だった日本リーグ2部の住友金属工業蹴球団へ移籍したのが1991年の初夏。ちょうど神様ジーコが現役復帰を表明して世界中を驚かせ、鳴り物入りで茨城県鹿島町(現鹿嶋市)に降り立ったころだ。

 以来、現役最後の1年間をプレーしたアビスパ福岡時代を除き、常にアントラーズとともに歩んできた。指導者に転身した1999シーズンからはユースコーチ、フィジカルコーチ、サテライト監督、そしてコーチを歴任。2010年には監督に必要なJFA公認S級コーチライセンスも取得した。

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