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新しいC・ロナウド。“過剰”から洗練へ。肉体的なピーク越え、研ぎ澄まされる決定力【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

メッシとの違い。「成り上がり」のロナウド

 ロナウドは“第二印象”もカズと似ていた。ウイングとして高速で足が動く選手からゴールゲッターに変化している。

 最初はアシストする選手だったのが徐々にゴールにシフト、3シーズン目に12得点と年間得点を二桁に乗せ、次のシーズンは23得点、そして入団5シーズン目には驚異的な42ゴールを叩き出した。ゴールという明白な結果で周囲の批判を黙らせると同時にプレーヤーとしてスケールアップした。

 レアル・マドリーに移籍しても得点ペースは変わらず、10-11シーズンに54得点、以後60、55、51、61、51、42点と信じられないゴールを記録して現在に至る。ロナウドはリオネル・メッシと評価を二分するサッカー史上最大級のスーパースターに成り上がった。

 あえて「成り上がった」と書いたのは、ロナウドは最初から現在のロナウドではなかったからだ。メッシは最初からメッシだった。持って生まれた才能という点では、ロナウドはメッシの半分にも及ばないと思う。天然自然に合理的なプレーができるタイプではなく、我流で突き進んでいる。

 若いころのロナウドはボールを持ちすぎる癖があった。判断が悪い証拠である。現在のロナウドはゴールに集中するために、あまりボールを持たなくなった。ただ、そこに至るまで劇的に判断が良くなったわけではない。依然として無駄もムラも多いままだった。しかし、ゴールという結果を出し続けることで、自分のスタイルを認めさせ、強引に正当化してしまった。

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