ヴィッセルにつきまとってきた「もっとやれる」という言葉
実際のところ、得点力が今季のチームにとって大きな課題となっている。今季の全29試合で記録した得点数は、昨年のセカンドステージ17試合での得点数と同じだ。
ポドルスキを獲得しながらもその現状である。デビュー戦となった7月29日の大宮アルディージャ戦で2ゴールを挙げたポドルスキだが、その後はわずか2点を加えたのみであり、不満を募らせている様子がたびたび話題となっている。
ドイツのレジェンドに対してはやはり、チームの鍵となるクリエーターの役割が課されている。埼玉での試合では、彼が主に位置取っていた右サイドから神戸のチャンスの半数近くが生まれていた。
元アーセナルの32歳は、浦和の主力FW興梠慎三と同じような位置取りで、10.38kmという走行距離も興梠の10.4kmとほぼ同じ。パス数では63対17と興梠を4倍近く上回っていたが、それでも決定的な貢献をすることはできなかった。チームメートたちは、W杯王者でもあるポドルスキと波長を合わせるのに苦戦しているように見えることも多かった。
「もっと良い戦いができると思う。浦和にも他のチームにも勝つことはできる」とポドルスキは試合後に話していた。
「だが忘れてはならないのは、これで(天皇杯も含めて)6試合か7試合負けていないということだ。神戸は今のJリーグの中で調子の良いチームだと思う。周囲が考えているように何もかもが悪いという状況じゃない」
確かにその通りではあるだろう。だが、「もっとやれる」という言葉は長年にわたってヴィッセルにつきまとってきた。オーナーの楽天が世界的なスポーツ市場へと本格的に重点を移しつつある中、神戸にはすぐにでもタイトル獲得を実現させることが必要だ。だが今季はまたしても不毛な1年だったとして片付けられることになるだろう。
(取材・文:ショーン・キャロル、翻訳:フットボールチャンネル編集部)
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